ECBタカ派メンバー、大幅利下げ観測をけん制 「慎重に」判断
ロイター / 2024年10月25日 10時58分
10月24日、欧州中央銀行(ECB)当局者3人は、市場の大幅利下げ観測をけん制し、ECBは利下げを緩やかに進めるか、少なくとも選択肢をオープンにしておくべきとの見方を示した。写真はEUの旗。7月、独フランクフルトのECB本部前で撮影(2024年 ロイター/Jana Rodenbusch)
Balazs Koranyi
[ワシントン 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)当局者3人は24日、市場の大幅利下げ観測をけん制し、ECBは利下げを緩やかに進めるか、少なくとも選択肢をオープンにしておくべきとの見方を示した。
ECBは今年既に3回の利下げを実施。軟調な経済指標や一部当局者による最近の発言を受け、市場ではより大幅で速いペースでの利下げ観測が高まっている。
だが、ECB理事会メンバーであるスロベニア、ドイツ、ラトビアの中銀総裁は24日、より慎重な見方を示した。
スロベニア中銀のバスレ総裁はロイターのインタビューで「中立(金利)に向けて引き続き慎重に進むべきだ」と述べた。
エコノミストは中立金利を景気を刺激も冷やしもしない金利水準と定義し、ユーロ圏の場合は2─2.5%とみている。ただ、推定レンジは1.75%から3%までと幅が広い。ECBの現在の中銀預金金利は3.25%。
バスレ氏は「(インフレ)目標のアンダーシュートや中立金利を下回る水準への利下げを議論する緊急性はない。これらは足元の問題ではない」と述べた。
<「会合ごとに判断」>
9月のユーロ圏インフレ率は目標の2%を下回った。年末までに上向くとみられているが、一部当局者は予想より早い来年初めに目標に回帰する見込みとし、アンダーシュートが現実的なリスクになると指摘している。
ラトビア中銀のカザークス総裁はこうした可能性を認めつつも、会合ごとに決定するECBの方針を撤回する理由にはならないと指摘。「特定のデータポイントだけでなく全てのデータを検討し、会合ごとに決定するというこれまでのやり方は今後も踏襲される」と述べた。
ナーゲル独連邦銀行総裁も、ECBは「性急に」インフレ対策を終了すべきでなく、今後発表されるデータを「慎重に」確認すべきとの見解を示した。
ただ、 ECBが制約的な政策金利を維持するという方針を変更する可能性はありそうだ。
バスレ氏は「さらに金利を引き下げれば、推定中立金利の上限に達する」とし、「そこへ到達したら、制約的金利を維持する必要性に関する文言を調整するのが適切かもしれない」と語った。
カザークス氏も「(インフレ率)2%に持続的な形で到達すれば、金利は制約的領域にとどまるべきでない」と述べた。
バスレ、カザークス両氏はユーロ圏経済の「ソフトランディング」(軟着陸)が引き続き基本シナリオとした一方、リスクの高まりにも懸念を示した。
バスレ氏は「回復を伴うソフトランディングがなお基本だ」としつつ、「最近の指標は成長率改善を遅らせる可能性のある幾らかのリスク顕在化を示している」と述べた。
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