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訂正-アングル:BRICS拡大後初の首脳会議、増大する「非西側」の影響力誇示

ロイター / 2024年10月25日 18時30分

 米首都ワシントンで10月23日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米大統領選を直前に控えてピリピリとした雰囲気に包まれたのと対照的に、ロシア西部カザンで22日に開幕したBRICS首脳会議はロシアのプーチン大統領が参加国の首脳を笑顔で迎えた。写真はBRICS首脳会議の集合写真に納まるロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席ら。代表撮影(2024年 ロイター)

(原文の訂正により最終段落の発言内容を差し替えました)

Mark John Libby George

[ロンドン 24日 ロイター] - 米首都ワシントンで23日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米大統領選を直前に控えてピリピリとした雰囲気に包まれたのと対照的に、ロシア西部カザンで22日に開幕したBRICS首脳会議はロシアのプーチン大統領が参加国の首脳を笑顔で迎えた。

BRICSは首脳会議参加国の人口を合わせれば世界全体のほぼ半分に達し、加盟国は増え続けている。依然として国際通貨基金(IMF)と肩を並べて基軸通貨であるドルに対抗するにはほど遠いとはいえ、加盟国が今年9カ国に拡大した後初となった今回の首脳会議開催で影響力の増大ぶりを見せつけた。

閉会に当たって公表された共同宣言は長々と書き連ねてはいたものの、西側主導で作られた決済・貿易制度や制裁の仕組みを回避する新たなメカニズムの創設については具体的に触れなかった。

しかし外交面ではいくつも成果があった。グテレス国連事務総長や、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコのエルドアン大統領が出席したことは大きな意味がある。トルコはBRICS加盟に関心を示している。また、インドと中国は今回の会議で新たな関係強化に取り組んだ。プーチン氏にとっては、多くのリーダーがロシアに集まったという事実だけでも、ロシアが世界経済から孤立しているという西側の主張への反論に役立つ。

経済シンクタンク、ブリューゲルの上級研究員、アリシア・ガルシアエレロ氏は「西側諸国は首脳会議の重要性を理解していない。今回の会合は西側が力を失いつつあることを示している」と述べた。

カザンが歴史において、80年前に第二次世界大戦後の為替相場安定のメカニズムが固まった米ニューハンプシャー州のブレトン・ウッズと同じ重みを持つことはないだろう。しかし今回の会議では多くの国が現行制度に不満を抱いていることが浮き彫りになった。背景には、過去10年間で新興国への資本移転が崩壊し、IMFの意思決定において新興国の意見が十分に反映されていないという状況がある。

アフリカ諸国の統治のあり方を調査している財団を運営するモ・イブラヒム氏は「BRICSへの参加を希望する国々がどれほど多いかを認識すべきだ。第二次世界大戦後の1945年頃に設立された、代表性や民主性に欠ける機関は全く変わっていないことが明らかだ」と述べた。

プーチン氏によると、BRICSには30カ国以上が加盟を申請している。

BRICSは2006年にブラジル、ロシア、インド、中国で発足したが、これまでの実績は一長一短。ウィーン国際経済研究所のマリオ・ホルツナー氏の試算によると、発足後も創設4カ国の1人当たり国内総生産(GDP)の伸びに大きな変化は見られない。

また、BRICSの新開発銀行(NDB)は今年の融資予定額が50億ドルと、世界銀行が計画していう与信や融資、供与の合計額728億ドルに比べれば微々たるもので、他のプロジェクトもまだ初期段階に過ぎない。

「BRICSは機能の低い送金システムを確立できるかもしれないが、それが本当の意味でゲームチェンジャーになることはおそらくないだろう」とホルツナー氏は予想する。

<リスク回避手段として脚光>

BRICSは加盟国が増えるにつれて、加盟国間の規模や影響力の違い、対立する案件などにより、共通する課題で合意を形成するのが難しくなると見られている。

しかし加盟を望む国は既に世界の商取引の5分の1を占めており、これらの国はBRICを事実上の貿易フォーラムとみなしている。

パキスタンのアウラングゼーブ財務相はワシントンで開催されたIMF会議の傍ら行ったインタビューで「こうした貿易回廊を結びつけることには大きなメリットがある。実際のところパキスタンもBRICSへの加盟を強く望んでいる」と語った。

BRICSが構築を目指す独自の決済システムがルの支配をすぐに脅かすことはないと見られるが、こうした取り組みは、自国の政策が将来西側から制裁を受けるのではないかと恐れる国にとって魅力的だ。

「西側諸国との間で将来起きるかもしれない摩擦に対する地政学的な緩衝材として、こうした代替構造を作り、リスクを分散している」と、リスク情報会社ベリスク・メープルクロフトの上級アナリスト、ハミッシュ・キニア氏は分析した。BRICSは「世界秩序が変化する兆しであって、秩序の変化を引き起こしている原因ではない」と言う。

実際のところ、BRICSは加盟国や加盟を希望する国から、IMFに対する明確な代替手段というよりも、世界が地政学的変化に直面する中で賢くリスクを分散させるための手段として利用価値があると受け止められている。

中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授は、「(中国にとって)BRICSは戦略的かつ経済的な連合ではない」とし、多くのBRICS加盟国が西側諸国と関係を促進していると指摘した。

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