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検証アベノミクス:財政規律が弛緩=小黒法大教授

ロイター / 2020年8月26日 16時12分

元財務官僚の小黒一正法政大学教授は、異次元緩和の下で国債を買ってきた日銀が買い入れの上限を撤廃したことで「財政規律弛緩を弛緩させている」との考えを改めて示し、経済が回復した時点で、所得税の引き上げや消費増税などを検討すべきと主張した。写真は東京の展望台からみた東京五輪・パラリンピックのメインスタジアム。2020年7月20日に撮影。(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 26日 ロイター] - 元財務官僚の小黒一正法政大学教授は、異次元緩和の下で国債を買ってきた日銀が買い入れの上限を撤廃したことで「財政規律弛緩を弛緩させている」との考えを改めて示し、今後は、新型コロナウイルス対策で増発した国債の管理が重要と指摘した。その上で、経済が回復した時点で、所得税の引き上げや消費増税などを検討すべきと主張した。

26日までにロイターの電話取材に応じた。

<金融政策は限界>

アベノミクス政策に関して小黒教授は「リフレ政策で金融政策をアグレッシブにし、経済を活性化すると同時に財政も健全化していく道筋を目指したが、金利が短期だけでなく長期のレンジまで潰れてしまい、金融セクターが痛めつけられた。金融政策は限界になっている」と指摘した。追加対策を巡っては「財政政策に対するプレッシャーが強くなるだろう」との見方を示した。

一方、累次のコロナ対策で「歳出規模がこれだけ膨らめば金利が上昇し、財政に対する警戒シグナルが発信されるはず。ところが、日銀が1次補正の時に(国債買入の)80兆円枠を取り払ってしまったので、財政規律の弛緩という側面がある」と述べた。

また「金利が上昇すれば、ワイズスペンディングの話になるはずだが、そこも悪影響でゆがんでしまう。最終的に国債が償却できればいいのだが、結局、将来世代につけを拡大している部分が大きい」と語った。

<国債管理が重要>

その上で、ポストアベノミクス政策では「何よりも重要なのは、発行してしまった国債の管理をきちんとすること。東日本大震災の時は所得税増税等で返済スキームを作ったが、今回もそれをやるべき」との見方を示した。

ただ「今はすぐに課税するのは適切ではなく、感染問題が収束してから、経済が正常化してからやるべき。その場合は、所得増税に加えてカーボンプライシングという環境付加価値税のようなものを財源にすることはあり得ると思う」とし、社会保障費の財源となる消費税に関しても「15%くらいのレンジを目指すべき」と語った。

経済面では「今は大量倒産を防ぐために財政サポートが必要だが、コロナが落ち着いてきた時に退出すべき企業が退出しないと、中長期的にみた経済の生産性に与える影響がある」と指摘。対策を講じることで「生産性も短期的には上がるかもしれないが、長期的にはトレンドを見ると下がってきている。そういう影響を与える可能性があるのは大問題だと思う」と述べた。

(梶本哲史 山口貴也 編集:田中志保 石田仁志)

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