アングル:テスラ決算、新工場の稼働見通しと新車導入時期に注目
ロイター / 2022年1月26日 13時40分
米電気自動車(EV)大手テスラが26日に発表する昨年第4・四半期決算は、過去最高の売上高だったとみられている。写真はテスラのロゴ。ロサンゼルスで2020年7月撮影(2022年 ロイター/Lucy Nicholson)
[サンフランシスコ 25日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラが26日に発表する昨年第4・四半期決算は、過去最高の売上高だったとみられている。ただ投資家やアナリストの関心は、これまでは業界他社よりうまくしのげていたバッテリーやその他のサプライチェーン制約が今後はテスラの先行きにも影響する可能性がある中で、同社が今年、テキサスとベルリンの新工場で生産をどれだけ早く拡大していけるのかに集まっている。
マスク最高経営責任者(CEO)は新車の市場導入時期についての新たなめどを26日に明らかにすると約束している。テスラ初の電動ピックアップトラック「サイバートラック」や、販売価格を2万5000ドルに抑えようとしている廉価版新型EVの生産と発売の時期も投資家には気掛かりだ。
ループ・ベンチャーズのマネジングパートナー、ジーン・ミュンスター氏はテスラの第4・四半期業績については、部品コストが押し上げられるインフレ環境だったにもかかわらず、排出権クレジットの影響を除く粗利益率が前期比で横ばいかやや上向いたとみている。
<新工場の稼働は>
アナリストの見立てでは、テキサスとベルリンの新工場によって最終的にテスラの生産能力は2倍にできる可能性があるが、既に実際に生産が始まっているのかどうかはまだ明らかにしていない。
マスク氏は、新工場では先端技術により数種類ほどのパーツで車体をつくったり、次世代型バッテリーを車体に一体化したりすることができると話してきた。ただ同氏の2020年の発言によると、必要になる部品を減らせ、工程を簡素化しコストを下げられる一方で、「相当な生産リスク」も伴うことになりかねないと認めている。
投資家は自動車業界全体がEV需要対応に苦戦する要因となっているサプライチェーン問題について、テスラとしての見通しも聞きたいと思っているだろう。
<4680電池>
テスラは、EVの航続距離を伸ばせてコストも下げられる新型バッテリー「4680」を搭載した車が今年初めごろに始まる見込みだとしている。ただ肝心のこのバッテリーの量産化がいつ可能になるかはまだはっきりしていない。
日本経済新聞によると、パナソニックはテスラ向けの新しいバッテリー生産を2023年にも日本で開始する。ロイターは昨年、韓国のLGエナジーソリューションも4680電池を23年に生産することを目指していると報じた。
<サイバートラック>
マスク氏は19年、米国の自動車市場で人気が高く収益性も大きいピックアップトラック分野に進出する考えを打ち出した。サイバートラックの投入計画だ。しかし、マスク氏のこれまでの言行と同様、サイバートラック生産開始のめどもたびたび遅延されている。当初21年終わりごろとされ、次に22年終わりごろとされた。関係者によると、これがさらに23年初めごろに最初の生産開始の見通しになっている。競争力を高めるため性能や装備の変更が必要になっているという。
オートフォーキャスト・ソリューションズのバイスプレジデント、サム・フィオラニ氏は、フォードとリビアンが電動ピックアップトラックの量産化を計画していることを挙げ、テスラとしては競争が既に激化している市場に新車を初めて導入することになるとの見方を示した。
フィオラニ氏は、米自動車大手3社の牙城であるピックアップトラック市場に今から食い込むのは非常に難しいとみている。そのため、テスラは伝統的な商用車としての買い手よりも週末だけスポーツやレジャーを楽しむ消費者や「生活スタイルを買う」人々に売り込んでいかざるを得ない可能性が高いだろうという。
<価格2万5000ドル>
マスク氏は2020年、テスラが販売価格を2万5000ドルに抑えた自動運転可能なEV「モデル2」を3年以内に提供すると約束している。ただモラビー副社長は昨年10月、バッテリーセル(単電池)の供給制約があるうちは既存モデル生産を優先すると述べた。
ループ・ベンチャーズのミュンスター氏は「より長い目で見ている投資家は廉価版のモデル2の行方を気にしている」と指摘。テスラは現行の価格体系のままでは年50%の販売増加率を維持することはできなくなるとの懸念を示した。
(Hyunjoo Jin記者)
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