焦点:中国外相訪米、首脳会談へ地ならし 中東情勢にらみ
ロイター / 2023年10月26日 15時35分
中国の王毅共産党政治局員兼外相(左)は26日から米国を訪問する。米中が根深い戦略上の相違に対処しようとする中、バイデン大統領と習近平国家主席の会談に道を開く可能性があるとして注目されている。写真はバリで2022年9月、代表撮影。写真右はブリンケン米国務長官(2023年 ロイター)
Humeyra Pamuk David Brunnstrom Laurie Chen
[ワシントン/北京 26日 ロイター] - 中国の王毅共産党政治局員兼外相は26日から米国を訪問する。米中が根深い戦略上の相違に対処しようとする中、バイデン大統領と習近平国家主席の会談に道を開く可能性があるとして注目されている。
最近の中東紛争は、米中の険悪な関係の新たな要素となっており、米国はイスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突が近隣に拡大しないよう、中国がイランへの影響力を行使することを期待している。
米中は共に協力できる分野を探すと表明しており、習氏は25日にグローバルな課題について米国と協力する用意があると述べているが、専門家らの間ではすぐには進展しないとの見方が大勢だ。
米バイデン政権の対中政策ではこれまで、両国間の激しい競争や、貿易から台湾、南シナ海に至るまで多くの問題における見解の相違が衝突に発展するのを防ぐことを最優先としてきた。
ブリンケン米国務長官は26日に王氏と会談する見通し。ブリンケン氏は24日、国連安全保障理事会で、中東における紛争拡大を回避するため王氏と連携する考えを示した。
米中の政策アナリストは、両国が紛争拡大回避への関心を共有しており、主要な石油購入国の中国はイランに対してかなりの影響力を行使できるとみる。
しかし、中国がその影響力を行使するかどうかは未知数であり、しばらくは傍観する可能性があるとしている。
戦略国際問題研究センターで中東プログラムの責任者を務めるジョン・アルターマン氏は「中国が米国とイランの直接的な対立を防ぐことに関心があるのは確か。米中は主要な石油消費国であり、(米・イランの対立が激化すれば)石油価格が高騰するためだ」と指摘。
「それでも、中国がここで積極的に介入することはないだろう。イスラエルと(パレスチナ自治区)ガザの紛争が解決する際には、中国もその場にいることを望むだろうが、現時点では解決を急ぐ必要性をあまり感じていないのではないか」と語った。
<中国外相、バイデン大統領とも面会か>
中国人民大学の時殷弘教授(国際関係論)は、中国がイランに影響力を行使することは「中東情勢に関して米国が中国に求められるほとんど唯一の現実的な期待」と述べた。
一方、イランに対する米国の立場は中国にとって受け入れがたく、その逆もまたしかりだとも指摘。「妥協の余地は小さい」とした。
米国は中国のイランへの影響力を重視しており、ブリンケン国務長官は先週の中東歴訪中、王氏と電話で会談し、紛争が拡大しないよう影響力を行使するよう要請した。
中国は、ハマスによる奇襲への報復としてイスラエルがガザを空爆していること対して自制と停戦を求めている。
中国のザイ・ジュン中東問題担当特使は24日、「中国は敵対行為の停止と平和の回復を促進するために努力を続けており、関係諸国と緊密に連絡を取り合っている」と述べた。
関係筋によると、王氏は27日にホワイトハウスでサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談するが、その際にバイデン大統領とも会う可能性があるという。ただ、バイデン氏が王氏とどの程度の会話を交わすことになるかは不明。
<米中首脳会談への地ならし>
アナリストは、今回の王氏の訪米について、11月11─17日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせてバイデン氏と習氏との1対1の会談を開くための調整が目的とみる。両首脳が直接会談するのは昨年11月のバリ以来となる。
スティムソン・センターで中国プログラムのディレクターを務めるユン・スン氏は「詰めるべきことは多い。王氏は交渉のためだけに訪米し、重要な発表は首脳会談で行われるだろう」と指摘した。
中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報は「中米間の交流はさまざまな分野で急速に回復している」としつつも、中国を封じ込めようとする米国の政策は変わっていない論評。米国はあらゆる機会を利用して、中国の信用を失墜させ、摩擦を生じさせようとしていると非難した。
*写真キャプションを修正して再送します。
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