メキシコが原油輸入国へ、生産量激減で2030年以降=政府予想
ロイター / 2024年7月26日 13時59分
Stefanie Eschenbacher
[メキシコ市 25日 ロイター] - 原油の主要生産国メキシコが2030年以降、急速に生産が落ち込み、輸入が必至な情勢にあることが分かった。ロイターが同国エネルギー省の予測文書を入手した。主要産油国では異例の政策転換となる。同省関係者は輸出が停止されるとの見通しを明らかにした。
10月1日に大統領に就任するシェインバウム前メキシコ市長は、風力や太陽光発電への財政支出を掲げるものの、ロペスオブラドール大統領の石油重視のエネルギー自給政策も引き継ぐ構えで、政策運営は難航を極めそうだ。
油田は主にメキシコ湾にあり、生産量は40年以上前の水準に落ち込んでいる。探鉱と生産設備への投資不足が要因だ。しかし、ロペスオブラドール大統領が積極的に資金投入したのは製油所の建設。ガソリンと軽油の輸入依存体質を改めるためで、投資額が170億ドルに及ぶオルメカ製油所(南部タバスコ州)建設に着手した。
ロイターが入手した文書によると、エネルギー省は3つのシナリオに予測をまとめた。楽観と悲観シナリオに間にある中間シナリオでは、深海域に近い浅海のザマ油田と超深海のトリオン油田の生産量は現在、日量計約180万バレル。28年に約224万7000バレルに達するものの、一時的でしかない。楽観シナリオでは最大239万バレル、悲観シナリオで216万4000バレルという。
3シナリオとも油層が新たに数カ所見つかることを前提にしているものの、30年から生産量が急速に減少するとの予測になっている。ある関係者によると、ザマとトリオンだけでなく最近発見された油層も期待外れに終わる恐れがあるという。
3シナリオに詳しい同省関係者は、製油所のほぼフル稼働を念頭に置く場合、早ければ10年後には原油輸入の開始が必須と述べた。
ロペスオブラドール大統領は資源ナショナリストだ。これまで深海探鉱や陸上のシェール開発で入札実施に踏み切って国営ペメックス以外の石油・ガス会社に参入を促したことがない。しかもペメックスには専門知識と資金が不足している。
エネルギー省関係者は「われわれに必要なのは石油精製能力の増強に軸足を置くのでなくブラジル国営石油ペトロブラスが行ったような大規模探鉱戦略だ」と強調した。
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