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日産、九州工場3割減産 北米主力車「ローグ」輸出拠点=関係者

ロイター / 2024年7月26日 22時11分

日産自動車が、北米向けの主力車などを生産する国内工場で7月に3割減産していることが分かった。写真は2021年7月、英サンダーランドで撮影(2024年 ロイター/Phil Noble)

Maki Shiraki Daniel Leussink

[東京 26日 ロイター] - 日産自動車が、北米向けの主力車などを生産する国内工場で7月に3割減産していることが分かった。主要市場の米国で販売が振るわず、在庫が積み上がっているため。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。今後3年間で新型車30車種を世界で投入する方針だが、計画通りの業績回復を達成できるかアナリストらは懐疑的だ。

関係者の1人によると、日産自動車九州(福岡県苅田町)の工場が4月から期初計画に対して減産し、7月は生産台数を2万5000台弱と3割ほど減らしている。同工場では3車種を生産し、うち台数が最も多いスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」は期初計画の半減となる1万台を減産している。ローグは北米を中心に海外へ輸出している。

日産が25日に発表した2024年度第1・四半期(4─6月期)連結決算は、営業利益が前年同期比99%減の9億円だった。米国販売が不振で在庫が想定以上に増加。会見した内田誠社長は、特にローグが予定の販売台数に届かず、「収益を圧迫することになってしまった」と説明した。

ローグは日産にとって北米の主力車だが、23年式モデルを売り切る前に24年式を発売。23年式を優先的に売るため販売奨励金を積み増して利益率が低下する一方、24年式を積極的に販促できず在庫が積み上がった。

世界全体で見ても、日産の在庫は増えている。同社によると、22年4─6月期に23万台まで減っていた在庫は、24年4─6月期に64万台と4年ぶりの水準まで増加した。

関係者によると、日産自動車九州は7月、国内向けのミニバン「セレナ」とSUV「エクストレイル」も期初計画から減産している。従業員の1日当たりの勤務時間は7時間を少し超える程度で、8時間を下回っている。残業や休日出勤もなく「給与は減る一方だ」(同関係者)という。

日産は5月に発表した中期経営計画で、26年度までに内燃機関車14車種を含む新型車30車種を投入する方針を打ち出した。電動車は16車種で、うち8車種が電気自動車、4車種がプラグインハイブリッド車(PHV)だ。営業利益率は6%以上、販売は23年度から100万台増を目指しているが、アナリストは達成を懐疑的に見ている。

「日産が高級車や価格帯の高い車を売ろうとしても、例えば中古車価格を見ても米国でそこまでのブランド力はないだろう」と東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは言う。「値引きをしないといけない。インセンティブ(販売奨励金)を付けて売らなくてはいけない」と話す。

さらに日産は現在、ハイブリッド車(HV)の需要が拡大している米国市場でHVを販売していない。26年度中に米国に投入する予定を公表しているが、内田社長は25日の決算会見で販売を前倒す可能性を問われ、PHVの投入検討もしていると述べるにとどめ、具体的な時期には言及しなかった。

ゴールドマン・サックス証券は25日の決算後のアナリストリポートで、本格的な回復は10─12月期以降との見方を示している。日産は9月以降の新型車投入によりばん回を目指しているが、26年度までHVの投入も見込めないことから、新型車投入による利益率向上を株式市場が織り込むまでには時間がかかると予想した。

(白木真紀、Daniel Leussink 編集:久保信博、David Dolan)

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