中国工業部門企業利益、1─2月は新型コロナで記録的落ち込み
ロイター / 2020年3月27日 14時10分
3月27日、中国国家統計局が発表した1─2月の工業部門企業利益は、前年同期比38.3%減の4107億元(581億5000万ドル)と、少なくとも10年ぶりの大幅減となった。写真は北京で昨年9月撮影(2020年 ロイター/JASON LEE)
[北京 27日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した1─2月の工業部門企業利益は、前年同期比38.3%減の4107億元(581億5000万ドル)と、少なくとも10年ぶりの大幅減となった。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が広がる中、鉱業、製造業、電力部門の利益が大幅に減った。
2019年12月は6.3%減、19年1─2月は14%減だった。38.3%の減少は統計がさかのぼれる2010年以降で最大。
春節(旧正月)に伴う季節的な要因を排除するため、統計局は毎年、1月と2月を合わせた数字を発表している。
2月末時点の工業部門の負債は前年比5.3%増加。19年末時点は5.4%増だった。
統計は主要事業の年間売上高が2000万元以上の大企業が対象。
1月下旬の春節休暇中に新型コロナ感染が急拡大し、幅広い地域で人の移動への制限が敷かれた影響で、企業は休暇が明けても長期間、業務を再開できなかった。
利益の大幅な落ち込みは、新型コロナ感染拡大で生産が打撃を受ける製造業セクターの課題を浮き彫りにしている。
国家統計局の当局者は声明で、新型コロナ対策の影響で工業部門の生産と販売は著しく減少し、人件費と減価償却費が企業を引き続き圧迫したと指摘した。
自動車から化学まで、かなり広範な業種で利益が減少し、電子機器は87%落ち込んだ。
調査対象41業種のうち利益が増加したのはたばこ製品、非鉄金属、石油・ガス探査、非主要農産物加工の4業種のみだった。
中国では、16日に発表された1─2月の鉱工業生産が30年ぶりの大幅なマイナスを記録。2月の生産者物価指数(PPI)も予想より大幅な低下となるなど、製造業に対する圧迫が鮮明になっている。
新型コロナによる影響が和らぎ、企業が再稼働するにつれて企業利益は回復するとみられているが、世界経済の後退リスクの高まりが回復を妨げる要因となる。
ANZのエコノミストXing Zhaopeng氏は、需要を促す新たな刺激策が打ち出されるまで利益見通しは厳しい状況が続くとし、世界各国のロックダウン(都市封鎖)が引き続き経済の重しになるとの見方を示した。
オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、ルイス・クイス氏は、企業利益は鉱工業生産に後れて回復すると予想。「多くの企業は生産能力を下回る水準で稼働しており、まだ解除されていない移動制限もある。利益率は圧迫された状況が続くだろう」と述べた。
1─2月の国有工業部門企業の利益は前年比32.9%減少した。一方、民間セクターの利益は36.6%減った。
*内容を追加しました。
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