英政府、EUとの通商合意文書を公表
ロイター / 2020年12月27日 15時51分
英国は26日、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を含む将来関係に関する合意文書を公表した。写真は英首相官邸の前に置かれたEU離脱反対派の看板。24日撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)
[ロンドン 26日 ロイター] - 英国は26日、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を含む将来関係に関する合意文書を公表した。英国とEUは24日、EUを離脱した英国が加盟国とほぼ同等に扱われる「移行期間」が終了する1週間前という土壇場で合意にこぎつけた。
英国が公表したのは1246ページにわたる通商合意文書のほか、原子力や機密情報の交換に関する合意、一連の共同声明と付属文書。付属文書の内容は、原産地規則や漁業、ワインや医薬品、化学物質の取引、セキュリティー関連情報での協力など多岐にわたる。
今回の協定により、移行期間が終了する12月31日2300GMT以降、英国とEU間のモノの貿易で関税ゼロが維持され、割当枠も設定されない。
双方は合意にあたり、貿易と投資における「公正で開かれた競争のための対等な競争条件」を義務付けた。
ただ、英国とEUの規制で「大幅な相違」がある場合には合意内容の「再調整」が可能とした。
双方はまた、補助金を巡る独立した仲裁役の設置でも合意したが、英国でどの機関がそれを担当するのか現時点では不明。
銀行業など英経済の80%を占めるサービス業については、「双方間の貿易・投資の発展に向けて好ましい環境の構築を目指す」とするにとどめた。
漁業権については、英国側はEU加盟国の英水域での漁獲割り当てを5年半かけて段階的に削減することで合意。5年半の移行期間終了後は毎年協議が行われる。
英国は合意により、欧州刑事警察機構(ユーロポール)、欧州司法機構、第二世代シェンゲン情報システム(SIS)など、安全保障分野でEU加盟国と共有していた組織やそのデータベースにも参加しなくなる。ただ、渡航者情報やDNA、指紋、車両登録情報の交換では部分的に協力する。
EUは、欧州議会の承認なしに合意を発効させる「暫定適用」を通じ、1月1日までの合意履行に向けて取り組んでいる。だが、欧州委は、合意の永久適用には1月初めに開かれる欧州議会での承認が必要だとしている。
ジョンソン英首相はEUとの合意について、2016年の国民投票でEU離脱(ブレグジット)を支持した国民の意思の履行と位置づけている。
また、ゴーブ英内閣府担当相(国務相)は合意により、5年近く続いたブレグジットを巡る英国内の分断と決別できると表明。英紙タイムズへの寄稿で「EUと新たに友好的な協力関係を構築できる」と述べた。
EU首脳らは、今回の合意でブレグジット問題に決着がついたとの見解を示している。
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