情報BOX:中国が仮想通貨全面禁止、背景と行方を探る
ロイター / 2021年9月27日 14時41分
[24日 ロイター] - 中国当局がついに暗号資産(仮想通貨)に関連する全ての取引と採掘(マイニング)を禁止すると発表した。これによりビットコインをはじめとする主要仮想通貨の価格は軒並み下落し、株式市場で仮想通貨やブロックチェーン技術の関連銘柄にも売り圧力がかかっている。
◎最新状況
中国人民銀行(中央銀行)や銀行、証券監督当局、国家外為管理局など計10省庁は、「違法」な仮想通貨活動の一掃に向けて協力していくと表明した。
これまで仮想通貨に関する規制は徐々に厳しくなってきたが、とうとうあらゆる活動が非合法化された。そればかりか、この禁止ルールを実行面でさらに徹底する方針も打ち出された。
人民銀は、仮想通貨取引の促進を違法行為とみなした上で、中国国内からの海外プラットフォームを利用した取引など、違法行為に関与した人物・団体は誰でも厳罰に処すと宣言した。国家発展改革委員会は、マイニング事業を段階的に消滅させるため、全国的な取り締まりを開始するとしている。
◎規制強化の道のり
中国では仮想通貨は法定通貨として認められていない。銀行システムも、仮想通貨を受け入れず、関連サービスを提供していない。
2013年には政府がビットコインを仮想コモディティーと認定。当時、個々人がオンライン取引に参加することは可能だった。ただ、同年の終盤になって人民銀などの規制当局は、銀行と決済サービス企業がビットコイン関連サービスを提供するのを禁じた。
17年9月になると、当局は投資家保護と金融リスク抑制を理由に、イニシャル・コイン・オファリング(ICO、仮想通貨の新規発行による資金調達)を禁止。この規制によって仮想通貨取引プラットフォームが仮想通貨と法定通貨を交換することも不可能になり、大半のプラットフォームは閉鎖して海外に拠点を移した。
同規制では、金融機関と決済サービス会社がICOと仮想通貨について、口座開設や登録、トレーディング、決済、清算などのサービスを展開することもできなくなった。
人民銀行によると、18年7月までには、88の仮想通貨取引プラットフォームと85のICOプラットフォームが市場から撤退した。
◎厳格化され続ける理由
過去1年間にビットコインなど主要仮想通貨の価格が高騰すると、中国では仮想通貨取引が再び活発化。投資家は既存の規制の抜け道を探り続けた。折しも政府が独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を開発し、主要国で初めての導入を目指していた局面だった。
今年初めには、金融機関と決済サービス企業に対する仮想通貨関連サービス規制をさらに強化している。業界向けのある指令は、投機的なビットコイン売買が再燃し、「人民が保有する資産の安全性」が損なわれるとともに、通常の経済・金融秩序に混乱をもたらしていると指摘した。
中国の多くの投資家は足元で、海外に拠点を移した中国系取引所が所有するプラットフォーム(Huobi、OKExなど)を利用していた。仮想通貨の国内店頭市場もまた活況を呈し、一時動きが止まっていたソーシャルメディアのチャットルームも復活した。
バイナンスやMXCなど中国を重視した取引所では、中国の個人投資家がほんの数分でオンライン口座を開設することが可能。店頭市場で個人同士が、人民元と仮想通貨の交換を行うのも手助けしている。
これらの取引は銀行もしくはアリペイ、微信支付(ウィーチャットペイ)といった決済サービス企業を通じて行われる。ただ、銀行や決済企業は、違法な仮想通貨関連取引を見つけ出すために、顧客の身元調査を実施するとともに、主要サイトや口座を対象とする監視システムを構築すると約束している。
◎取り締まり強化の影響
24日に仮想通貨は値下がりしたものの、5月に中国国務院がビットコインのマイニングを取り締まる方針を示した時ほど下落幅は大きくならなかった。
今後は当局がどこまで違法取引を発見し、プラットフォームを処罰できるかどうか、また、人々がどの程度ルールを守るかが試されることになる。
一部の専門家は、過去の経緯を踏まえると、強い意思を持つ投資家は、引き続き取引できる方法を見つけ出す公算が大きいと話す。
ウォーリック・ビジネススクールのガネシュ・ビスワナス・ナトラージ准教授は「中国の個人投資家は、もはや違法となったオンライン取引プラットフォームを利用できないかもしれない。しかし、仮想通貨ファンドは、海外に移動して運用できるのではないか」と述べた。
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