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アングル:アマゾンの市場支配力に挑むカーンFTC委員長、提訴で新たな局面

ロイター / 2023年9月27日 11時16分

 米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長は2021年の就任前から米アマゾン・ドット・コムの市場支配力を厳しく批判してきた。写真はワシントンで2021年4月、代表撮影(2023年 ロイター)

David Shepardson

[ワシントン 26日 ロイター] - 米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長は2021年の就任前から米アマゾン・ドット・コムの市場支配力を厳しく批判してきた。FTCが同社を反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した26日、長年の取り組みは転換点を迎えた。

17年に当時29歳だったカーン氏は米エール法科大学院の法律評論誌「エール・ロー・ジャーナル」で発表した論文でアマゾンの事業構造や慣行が反競争的である恐れがあるにもかかわらず、反トラスト法の規制を逃れてきたと指摘。「事業戦略と情報発信を消費者のための値下げに集中させることなどで政府の監視の目を逃れてきた」と分析し、宣教師のような熱心さで「消費者のため」だと説き、「現代版」反トラスト法に適応することで独占への道を進んできたと主張した。

FTCは26日に起こした訴訟では、裁判所に対し「アマゾンの違法行為に終止符を打ち、独占的支配を打ち破り、違法行為から果実を得ることを阻止し、競争という失われたの約束を復活させる」よう求めた。

カーン氏はアマゾンが「独占的地位を不当に維持する」ために懲罰的、強圧的手段を取ってきたと主張。「独占力を悪用して自らの富を増やす一方で、アマゾンのプラットフォームで買い物をする何千万の米世帯に対し価格を引き上げ、サービスを低下させている」とした。

アマゾンは21年にカーン氏が「そのキャリアを通じてアマゾンの解体を繰り返し求めてきた」として、自社案件に同氏を関与させないよう求める嘆願書を提出した。同社は26日、FTCの訴えに反論し、小売業界全体の競争と技術革新の促進に同社が役立ってきたと主張した。

FTCはカーン氏の下でアマゾンに厳しい姿勢を取ってきた。何百万人もの消費者を同意なしに有料会員制サービス「アマゾン・プライム」に登録し、解約を困難にしていると非難している。

今年5月にはアマゾンの防犯カメラ「リング」について一部顧客を盗み見するのに使われているとFTCが指摘した問題でアマゾンが580万ドルを支払って和解。

音声認識AI(人工知能)「アレクサ」に録音された子どもの音声データをアマゾンが削除せずプライバシーを侵害したとのFTCの指摘にもアマゾンは2500万ドルを支払い和解することに同意した。

カーン氏が17年に論文を出して以来、アマゾンの時価総額は2倍以上に膨れて1兆3500億ドルに達した。同社は10年以降、米国に5300億ドル以上を投資し、現在154万人を雇用している。

しかし、カーン氏には力強い味方もいる。民主党のバーニー・サンダース上院議員はFTCによるアマゾン提訴を称賛し、「株主の懐を満たし、米国民に価格上昇をもたらす市場支配力の集中が異なる業種で次々に起きており、アマゾンはまさにその申し子だ」と強調した。

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