米は債務抑制を、IMFが増税提言 経済成長・インフレ鈍化は評価
ロイター / 2024年6月28日 8時40分
国際通貨基金(IMF)は27日、世界最大の経済大国である米国の「力強くダイナミックな」経済成長とインフレ抑制に向けた進展を評価した上で、債務水準の上昇を抑制するために増税を求めた。2018年9月撮影(2024年 ロイター/Yuri Gripas)
David Lawder
[ワシントン 27日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は27日、世界最大の経済大国である米国の「力強くダイナミックな」経済成長とインフレ抑制に向けた進展を評価した上で、債務水準の上昇を抑制するために増税を求めた。
米経済政策に対する審査(4条協議)の最終声明で、巨額の財政赤字と債務は「米国および世界経済に対するリスクを増大させ、財政上の資金調達コストの上昇や、満期を迎える債券の円滑な再投資に対するリスク増大につながる可能性がある」とした。
2024年の米国内総生産(GDP)成長率予想は2.6%と、4月に発表した世界経済見通しの2.7%から若干下方修正した。25年の見通しは1.9%に据え置いた。
IMFは米経済について「力強くダイナミックで、変化する世界情勢に適応できることを証明した」とし、「(経済)活動と雇用は引き続き予想を上回り、インフレ鈍化のプロセスは多くの人が懸念していたより犠牲がかなり抑えられている」と指摘した。
米インフレ率については、個人消費支出(PCE)価格指数が連邦準備理事会(FRB)の予想である26年より早い25年半ばまでにFRB目標の2%に回帰するとの見方を示した。
IMFのゲオルギエワ専務理事は、コロナ禍後の個人消費ブームが沈静化し、労働市場が減速しつつあることなどから、米インフレ率は予想より早期に目標に回帰する見通しとした。
<財政赤字・貿易巡り提言>
IMFは一方で、財政赤字拡大が続けば、公的年金や高齢者向け公的医療保険などの給付費も含めた米国の債務は29年末までに対GDP比140%に達すると警告。
富裕層だけでなく、年収40万ドル以下の世帯も対象に所得税率を累進的に引き上げるよう提言した。バイデン大統領は年収40万ドル以下への増税に否定的な立場を示している。
ゲオルギエワ氏は米経済が堅調な今が財政健全化の好機だと述べた。
IMFはさらに、関税など貿易障壁の拡大や、国内企業を優遇する産業政策の強化は米国や世界経済の下振れリスクだとし、投資の流れをゆがめ、世界貿易システムを弱体化させる可能性があると指摘。貿易相手国と交渉を通じて相違を解決し、世界貿易機関(WTO)を強化するよう求めた。
米財務省は声明で、イエレン財務長官がゲオルギエワ氏との協議で、年次審査を通じて加盟国経済を率直かつ徹底的に評価する重要性を改めて強調し、「過去数年の米経済の目覚ましい実績」について話し合ったとした。財政赤字や貿易を巡る提言には言及しなかった。
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