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アングル:中国の再利用型無人宇宙船、軍事転用に警戒感

ロイター / 2024年7月27日 12時25分

 中国には、ロケットブースターの上に載せられて地上から発射され、衛星軌道に滞在した後、秘密が守られた空軍基地に帰還する再利用型の無人宇宙船がある。これはまだ恐らく試験段階の技術である公算が大きいが、衛星軌道操作など軍事目的に利用される恐れがある、と複数の専門家は話している。写真は有人宇宙船「神舟18号」を乗せたロケット「長征2号」の打ち上げの様子。北西部の酒泉衛星発射センターで撮影。China Daily提供(2024年 ロイター)

Gerry Doyle

[シンガポール 25日 ロイター] - 中国には、ロケットブースターの上に載せられて地上から発射され、衛星軌道に滞在した後、秘密が守られた空軍基地に帰還する再利用型の無人宇宙船がある。これはまだ恐らく試験段階の技術である公算が大きいが、衛星軌道操作など軍事目的に利用される恐れがある、と複数の専門家は話している。

6月には、ある物体を放出して数キロを移動し、そこから数百メートル以内に戻るという、この宇宙船の3回目のミッションが明らかになった。

デルフト工科大学のマルコ・ラングブルーク氏は「これは軍事用途があるのは明らかで、例えば敵の目標物を接近して調べたり、それらを無力化したりすることだ。ただ非軍事用途も持っている。取得と放出のような試験で得られる経験は、自前の衛星の燃料補給に役立つ」と説明した。

軍事大国同士が複雑な衛星ネットワークの展開競争を繰り広げる中で、それらを妨害できる再利用型宇宙船の価値は計り知れないほど大きい、というのがラングブルーク氏ら専門家の見方だ。

中国政府はこの宇宙船がどのような技術を試験しているのかは一切明らかにしてない。

米国は2010年に初めて、ボーイングが開発した無人宇宙機「X-37B」を打ち上げ、ロシアは最近複数の衛星を宇宙に送ったが、米国側はこれらが軍事兵器ではないかと疑っている。

ワシントンのシンクタンク、セキュア・ワールド・ファウンデーションの宇宙安全保障チーフディレクター、ビクトリア・サムソン氏は、中国の宇宙船はX-37Bとほとんど同じで試験途上の技術だろうと分析。「正直に言ってどちらも軍事的な有用性があるとは思わない。いずれも技術を誇示するものではないか」と述べた。

中国の宇宙船の3回目のミッションは昨年12月に始まった。最初のミッションは20年9月で期間は2日、2回目は22年8月に打ち上げられて宇宙空間で物体の放出と回収を行い、276日を要している。

米宇宙軍のホワイティング司令官は「中国が行ういかなる宇宙での活動も、われわれは国家安全保障の領域でデュアルユーズ(軍と民間の双方で利用可能な技術)だと想定している」と述べ、実態把握に努めていることを明らかにした。

中国による軌道上での物体の放出・回収試験は、X-37Bが実施しているものと相似する。

X-37Bは全て機密扱いとされているが、ボーイングによると、長期的な宇宙に関する目的を支援するための再利用可能宇宙船技術を検討する取り組みと位置づけられている。

これらの試験がどこまでうまくいくかは、ミッションの期間に影響を及ぼしてもおかしくない。例えばハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル氏は、先端技術を備えたセンサーの試験で情報収集に多大な貢献が認められた場合、より長く宇宙空間にとどめたくなるかもしれないと説明した。

敵の衛星の探査や無力化も、軍事的な能力として想定される。

ただ軌道上からの宇宙船を使った衛星への攻撃は、地上発射型の弾道ミサイルや巡航ミサイルに比べてほとんど利点がないとの見方も出ている。

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