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欧州エネルギー大手、24年は気候変動対策を後退 短期利益を優先

ロイター / 2024年12月27日 11時32分

 12月26日、欧州の大手エネルギー企業は、短期的な利益を優先し、今年石油とガス部門への投資を倍増させ、気候変動対策への取り組みを後退させた。写真はBPのロゴ。カナダのバンクーバーで昨年7月撮影(2024 ロイター/Chris Helgren)

Ron Bousso

[ロンドン 27日 ロイター] - 欧州の大手エネルギー企業は、短期的な利益を優先し、今年石油とガス部門への投資を倍増させ、気候変動対策への取り組みを後退させた。

ロシアによるウクライナ全面侵攻を受け、エネルギー価格が高騰したことを受けて、各国政府がクリーンエネルギー政策の展開を遅らせ、目標を先送りしたことが背景にある。

クリーンエネルギーへの移行に多額の投資を行ってきた欧州の大手エネルギー企業は、株価パフォーマンスでエクソンやシェブロンといった米国勢に遅れをとっている。

こうした中、BPやシェルなどは今年、利益率の高い石油・ガス事業に注力し、風力・太陽光発電プロジェクトへの投資を縮小した。

BPは洋上風力発電事業をほぼ切り離し、シェルも新規の洋上風力発電への投資を中止、電力市場からの撤退、二酸化炭素(CO2)削減目標の引き下げを行った。エクイノールも再生可能エネルギーへの投資を減速させている。

アクセラ・リサーチのアナリスト、ローハン・バウター氏は「ウクライナ侵攻のような地政学的混乱は、原油価格の高騰と投資家の期待の高まりの中で、低炭素社会への移行を優先させる最高経営責任者(CEO)のインセンティブを弱めた」と指摘。同氏によると、BP、シェル、エクイノールは24年に低炭素化に向けた支出を8%削減した。

地球温暖化対策は逆風にさらされている。排出量は増加し、24年は記録上最も暑い年になると予想され、気候変動懐疑論者のトランプ氏が米国の大統領に復帰することで、エネルギー政策の不確実性が高まっている。さらに、中国の経済刺激策は石油需要を押し上げる可能性があり、欧州は地政学的な課題に直面している。

11月にアゼルバイジャンのバクーで開催された国連気候変動会議では資金調達で合意に至ったものの、化石燃料の段階的廃止については進展が見られなかった。エネルギー企業は、トランプ政権下でバイデン政権のグリーンエネルギー政策が覆されるかどうかに注目している。

中国の需要は鈍化している。同時に、石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国で構成するOPECプラスは協調減産を繰り返し延長している。世界の原油需要の減速感は強まっており、石油メジャーの収益は圧迫されている。その結果、アナリストは石油会社が来年、より厳しい財政的制約に直面すると予想している。LSEGの推計によると、欧米上位5つの石油企業の純負債は、22年の920億ドルから24年には1480億ドルに拡大すると予想されている。

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