NY市場サマリー(27日)
ロイター / 2020年2月28日 7時47分
[27日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが下落した。新型コロナウイルス対策として米連邦準備理事会(FRB)が利下げをするとの見方が強まった。ユーロは2018年5月以来の大幅高となった。
CMEグループのフェドウオッチによると、3月の利下げ確率は54.3%と前日の33.2%から上昇。欧州中央銀行(ECB)による利下げ観測も高まった。
テンパスのディーリング・トレーディング部門バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は「ドルの見通しが大きく反転している」と述べた。
コメルツバンクのアナリストは「利下げ期待の勢いが増している。米国の利下げ幅予想は欧州の利下げ幅予想よりもはるかに大きい」と指摘。ドルが一段と下落するかどうかは、新型ウイルスの影響が中国以外の信頼感と貿易に関する経済指標に現れるかにかかっているとした。
ドルは対ユーロ
ユーロ/ドルの1カ月物ボラティリティー
安全資産である米国債に資金が向かい、10年債利回り
ドル/円は0.52%安の109.84円。安全通貨としての円への資金回帰が見られた。
オフショア人民元
<債券> 米10年債利回りが一時3日連続で過去最低を更新した。新型コロナウイルスを巡る懸念で安全資産買いが強まった。ただ、その後は水準を戻す場面もあった。
午後の取引で10年債利回り
30年債利回り
アナリストは、新型ウイルスの世界的な感染拡大が報じられる中で、安全資産への逃避が強まっており、通常の国債購入者に加え、投資家が株式などを売って国債に向かっていると指摘。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの世界債券部門最高投資責任者マイケル・クシャマ氏は「米国債市場は誰にとってもリスクのない資産だ」と述べ、この動きがどのぐらい続くかは個人消費の縮小につながりかねない米企業の人員削減が始まるかどうかによるとした。その上で「 米連邦準備理事会(FRB)にとって鍵になるのは、労働市場が堅調でいられるかどうかだ」と指摘した。
米2年債利回り
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は27日、新型ウイルスの世界的な感染拡大について「パンデミック(世界的流行)の可能性がある」とし、感染封じ込めに向けた「決定的な時期」にあると警鐘を鳴らした。[nL3N2AR55F]
ゴールドマン・サックスはこの日、新型ウイルスの感染拡大により、米企業の2020年の利益成長率は平均で横ばいになると発表した。[nL3N2AR54X]
米財務省が実施した320億ドルの7年債入札は796億ドル規模の需要を集め、最高落札利回りは1.247%だった。
<株式> ダウ工業株30種とS&P総合500種が6日続落、ナスダック総合も急反落して取引を終えた。新型コロナウイルスによる肺炎の世界的な拡大を受け、経済成長を巡る懸念が強まった。ダウは1100ドルを超える下落となり、過去最大の下げ幅を記録した。
S&P500<.SPX>は19日に付けた終値ベースの最高値を12%下回る水準となり、過去最短の6日で調整局面入りした。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのアナリストによると、これまでの最短は2018年初めに記録した9日だった。
主要3指数はいずれも週間の下落率が世界的な金融危機以来の大きさになる見通しだ。
中国以外の感染者の増加数が中国国内を上回る中、感染が広がる国では学校の休校やイベント中止などの対応がとられている。米国では疾病対策センター(CDC)が26日夜、感染経路の不明な患者を確認したことを明らかにした。
取引時間中には売りが和らぐ場面もあったが、引け前1時間で下げが加速。S&P500はこの日の安値付近で取引を終え、2011年8月18日以来の大幅な下落率を記録した。
ダウは12日に付けた終値ベースの最高値を12.8%下回る水準で引けた。ナスダックも19日に付けた終値ベースの最高値から12.7%下落している。
米株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は11.60上昇し、2018年2月以来の高水準となる39.16で終了した。
S&P500の主要11セクターはいずれも下落し、不動産<.SPLRCR>、情報技術(IT)<.SPLRCT>、エネルギー<.SPNY>は5%を超える大幅安となった。
航空便などの混乱が世界的体に広がるとの懸念から、NYSEアーカ航空指数<.XAL>は5.7%急落、中国へのエクスポージャーの大きい銘柄を含むフィラデルフィア半導体指数<.SOX>も4.7%安となった。
アナリストの間では新型ウイルスによる経済への影響を警戒する見方が強まっており、ゴールドマン・サックスは米企業の2020年利益が前年比横ばいになるとの見方を示した。[nL3N2AR54X]
マイクロソフト
スリーエム
<金先物> 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大懸念が広がる中、利益確定の売りが優勢となり小幅ながら3日続落した。中心限月4月物の清算値は前日比0.60ドル(0.04%)安の1オンス=1642.50ドル。
前日に続き金塊は利益確定の売りが先行した。ただ、世界的な感染拡大への警戒を背景に投資家のリスク回避姿勢は根強く、安全資産としての金には一定の需要がある。対ユーロでのドル安もドル建てで取引される金塊などの商品の割安感につながり、金塊の買いを誘った面もあった。米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げに踏み切るとの観測も金を支えた。
<米原油先物> 世界経済の冷え込みに伴う需要先細りへの警戒から売りが止まらず、5営業日続落した。米国産標準油種WTI4月物の清算値は、前日比1.64ドル(3.37%)安の1バレル=47.09ドル。中心限月ベースでは2019年1月初旬以来、約1年2カ月ぶりの安値となった。5月物は1.59ドル安の47.29ドルだった。
中国で発生した新型コロナウイルスは世界各地に飛び火し、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、27日までに五大陸の50カ国・地域で感染を確認。世界保健機関 (WHO)も26日付の報告書で、「中国国外の新規感染者の数が中国国内の数を上回った」と指摘した。さらに、米国でも初めて感染経路をたどれないケースが発表され、米国 を含めた世界的なエネルギー需要の減退懸念が強まっている。
こうした中、この日も米金融市場はリスク回避ムード一色。この日は新たに、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを追加で下方修正する可能性を示唆したほか、金融大手ゴールドマン・サックスは20年の米主要企業の利益成長率をゼロと予想した。米株式相場が寄り付きから急落すると、原油先物相場もつれ安となり、昼前には一時45.88ドルまで下げ幅を拡大したが、その後は押し目買いなどで幾分持ち直した。
ドル/円 NY終値 109.58/109.61
始値 109.94
高値 110.34
安値 109.58
ユーロ/ドル NY終値 1.0998/1.1002
始値 1.0944
高値 1.1005
安値 1.0943
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 105*10.50 1.7701%
前営業日終値 104*21.50 1.7980%
10年債(指標銘柄) 17時05分 102*03.50 1.2739%
前営業日終値 101*24.50 1.3100%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*07.00 1.0799%
前営業日終値 99*31.75 1.1270%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*03.38 1.0714%
前営業日終値 99*30.75 1.1450%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 25766.64 -1,190.95 -4.42 <.DJI>
前営業日終値 26957.59
ナスダック総合 8566.48 -414.30 -4.61 <.IXIC>
前営業日終値 8980.78
S&P総合500種 2978.76 -137.63 -4.42 <.SPX>
前営業日終値 3116.39
COMEX金 4月限 1642.5 ‐0.6
前営業日終値 1643.1
COMEX銀 5月限 1773.5 ‐17.9
前営業日終値 1791.4
北海ブレント 4月限 52.18 ‐1.25
前営業日終値 53.43
米WTI先物 4月限 47.09 ‐1.64
前営業日終値 48.73
CRB商品指数 163.1181 ‐3.1633 <.TRCCRB>
前営業日終値 166.2814
*内容を追加しました。
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