英経済、2─3年で完全回復せず コロナ禍「熾烈」=中銀委員
ロイター / 2020年5月28日 23時58分
イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のソーンダーズ委員は28日、新型コロナウイルス感染拡大による「熾烈(しれつ)な経験」から英経済が向こう2─3年間で完全に回復する公算は小さいとの見方を示した。ロンドンで撮影(2020年 ロイター/HANNAH MCKAY)
[ロンドン 28日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のソーンダーズ委員は28日、新型コロナウイルス感染拡大による「熾烈(しれつ)な経験」から英経済が向こう2─3年間で完全に回復する公算は小さいとの見方を示した。
ソーンダーズ委員は、経済に対する脅威の規模を踏まえると、刺激策は大きすぎる方が小さすぎるよりは望ましいと指摘。新型ウイルス感染抑制策が緩和されても失業や企業倒産のほか、感染拡大第2波の発生に対する懸念が経済の重しになるとし、「何も対応されなかった場合、経済活動の低迷、悲観的な見通し、投資の減少といった要素が相互に影響し合う悪循環が起きるリスクがある」と警告した。
中銀は5月7日、今年第2・四半期は英経済は25%のマイナス成長に陥るものの、来年には新型ウイルス感染拡大前の水準に戻るとの見方を表明。政府も素早い回復を予想している。
ただソーンダーズ委員は、一部企業が営業を再開し、成長が当初は急速に回復したとしても、1年後の経済成長率は新型ウイルス感染拡大前と比べて10%低い可能性があると指摘。「収入や雇用のほか、利益が劇的に減少するこの熾烈な経験で、人々の行動様式が長期的な影響を受ける恐れがある」と語った。
中銀は新型ウイルス感染拡大を受け、3月19日に政策金利を0.25%から過去最低の0.1%に引き下げたほか、債券の買い取り枠を2000億ポンド上乗せすることを決定。5月の決定会合では新たな措置は打ち出さなかったが、次回6月18日の会合では買い入れ枠の拡大を決定する可能性がある。
ソーンダーズ委員は、資産買い入れ枠の拡大を1カ月待ったところで、景気見通しに関するより多くの情報が得られるわけではないとし、「あまり緩和せずに経済が根強い低インフレ環境に陥るよりは、緩和しすぎる方向で誤った方が安全だ」と述べた。
その上で、中銀が十分な刺激策を実施しなければ、長期的な失業問題が発生するリスクがあると警告。政府の雇用支援にもかかわらず、失業率は9%近辺と、1990年代半ば以来の水準に上昇した可能性があるとの見方を示した。
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