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安倍首相が辞意表明、持病悪化で決断 後任選出まで執務

ロイター / 2020年8月28日 20時28分

 8月28日、安倍晋三首相が辞任を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が再発し、職務を続けるのは困難と判断した。写真は同日、辞意表明会見を終えた安倍首相。東京の首相官邸で撮影(2020年 代表撮影)

[東京 28日 ロイター] - 安倍晋三首相が28日、辞任を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が再発し、職務を続けるのは困難と判断した。臨時代理は置かず、後任が選ばれるまで執務にあたる。記者会見で首相は「拉致問題を解決できなかったことは痛恨の極み」としたほか、第1次政権時から高く掲げてきた憲法改正にも踏み込めず、「志半ばで去るのは断腸の思い」と述べた。

<07年に続き再び辞任、自分で決断>

会見で安倍首相は、連続在職日数が歴代最長を更新し、慶応大学病院を訪問した今週24日に決断したことを明らかにした。国内の新型コロナウイルスの感染が減少傾向に転じたことや、冬に向けた対策拡充を取りまとめたことで、「新体制に移行するならこのタイミングしかないと判断した」と語った。

他人に相談はせず1人で決断したことや、2007年の第1次安倍政権で国会開会後に突如辞任したのとは異なる形での辞任を意識したという。

第2次安倍内閣発足後は、デフレ脱却を掲げ、大規模な金融緩和を始めとしたアベノミクスを推進した。安全保障政策では憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にした。

一方で、ロシアとの領土問題、北朝鮮による日本人拉致問題は大きな前進がみられなかった。

自身の政治遺産(レガシー)について、「国民、歴史が判断するものだ」と語った。

森友・加計学園問題などに関連し、政権を私物化したとの批判は明確に否定しつつも、公文書管理問題などの説明責任が十分だったかどうかは国民が判断するとした。

<後任総裁の選出方法、幹事長に一任>

安倍首相は記者会見に先立ち、自民党本部で緊急役員会に出席。辞職の意向を明らかにした。その場で、後任の総裁選びの方法については二階幹事長に一任すること、総務会で正式に決定することが決まった。

二階幹事長は後任選びの方法について「極めて明朗に全党員に理解をいただける形で結果を出したい」とする一方で、「ゆとりがあれば党員投票を考えるべきだと思うが、そこに至るかは、意見を聞いて判断したい」と述べた。総裁選のやり方は9月1日の総務会で正式に決定する方向。

新たな総裁の任期は、辞任した総裁の残りの任期となるため、来年9月末となる。

国内メディアによると、岸田文雄自民政調会長や石破茂元幹事長、下村博文選対委員長が総裁選の出馬に意欲を示している。

<敬意と感謝の気持ち>

首相が辞任の意向を表明したことについて、自民党の稲田朋美幹事長代行は「経済、外交、安全保障を再生されたことに敬意と感謝の気持ちだ」と語った。

東京都の小池百合子知事は、「コロナウイルス対策、オリンピック・パラリンピックなど国との連携を図りながら取り組みを進めていかなければならないテーマが多々ある」とし、今後について「国としっかり連携をとるということは変わりなく進めていきたい」と語った。

小泉進次郎環境相は「大変残念だ」としたうえで、自身の総裁選出馬について「仲間が支えてくれなければスタート地点には立てない」と述べ、明確な言及を避けた。また、次の総裁選は全党員に投票の機会があるのが一番いいと語った。

<街の声は>

証券会社に勤務する小島直人さん(55)はロイターに対し、「外交で外国といろいろ交渉し、賛否両論あったが、良いことの方が多かったと思う。十分頑張ったのでお疲れ様でしたと言いたい」と語った。

俳優の岩田怜士さん(24)は、「新型コロナもあってずっと働いていたと思う。いろいろ批判はあると思うが、国のために頑張ってくれたので少し残念に思う」と述べた。

(竹本能文、久保信博、新田裕貴 浜田寛子 編集:石田仁志)

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