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米FRB当局者、新戦略巡る見解分かれる 景気回復は緩慢

ロイター / 2020年8月29日 6時15分

米連邦準備理事会(FRB)の雇用最大化と物価安定に向けた新戦略発表から一夜明けた28日、FRB当局者は、新たな「枠組み」の適用がただ1つの方法に限られないとし、具体策についてさまざまな見解を示した。写真は2018年8月、ワシントンのFRBビル前で撮影(2020年 ロイター/Chris Wattie)

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の雇用最大化と物価安定に向けた新戦略発表から一夜明けた28日、FRB当局者は、新たな「枠組み」の適用がただ1つの方法に限られないとし、具体策についてさまざまな見解を示した。

FRBは27日、米国の完全雇用を復活させ、物価を健全な水準に戻すための新たな戦略を発表。インフレ率が「一時的に」2%を上回ることを容認し、長期的に平均2%の目標達成を目指すほか、最大雇用の確保を図る。[nL4N2FT3YI][nL4N2FT5FC]

新戦略の目的は雇用増の副作用としてのインフレ上昇を容認することだが、FRB当局者からはインフレ上昇の許容限度や採用するメトリックスなどを巡りさまざまな見解が示された。

ダラス地区連銀のカプラン総裁はブルームバーグ・テレビのインタビューに対し、経済が再び完全雇用に近い状態に戻るなら、インフレ率がFRBが目標とする2%を「若干」上回っても異存はないと述べ、「若干というのは、ほんの少しを意味する」とし、具体的には2.25%まで容認するとの考えを示した。

その上で「物価安定が(完全雇用の達成)より重要な責務との考えを変えていない。新たな枠組みの下でもこれが変わることはない」と述べた。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、CNBCのインタビューに対し、インフレがいつ過度に上昇したかという判断は、経済の中で他に起きていることに左右されるとし、「特定の数式のようなものがあるわけではない」と指摘。「経済の中で起きていることや、インフレ期待がどの程度安定しているかに左右される」と述べた。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁はCNBCのインタビューに対し、インフレ率の実際の水準よりも、変化するペースに注目すると表明。「重要なのは実際の水準よりも、むしろ速度だ」とし、インフレ率が「2.5%にじわじわと上昇する」のと、「2.5%を超える水準に急上昇する」のは異なると述べた。

セントルイス地区連銀のブラード総裁はCNBCのインタビューに対し、新戦略の下でインフレ率が「しばらくの間」、FRBが目標とする2%を0.5%ポイント上回ることは容認できると表明。「インフレ率はしばらくの間、目標を0.5%ポイント下回る状態が続いていた。このため、しばらくの間、0.5%ポイント上回ることは容認できる」とし、「インフレ期待を目標の2%に固定するとの考えだ」と述べた。

FRBは27日の新戦略発表に当たり、具体的にどのように適用するかについては明らかにしなかった。新戦略が資産買い入れやフォワードガイダンスの拡充につながるかについても明らかになっていない。

カプラン総裁は、金利は長く上昇することはないと政策担当者が明言しているとし、一段のフォワードガイダンスを発表する前に様子を見たいと表明。新型コロナウイルス感染拡大を巡る状況、および感染拡大を受けた経済情勢についてより多くの情報を得たいと述べた。

FRB当局者は、米国の景気回復は緩慢で、一段の財政、金融政策支援が必要になるとの考えを表明。ハーカー総裁は、労働市場は「基本的に横ばい」になっているとし、小売業、観光業、旅行業の雇用の多くは以前の状態に戻らないと指摘。メスター総裁も「回復は緩慢になる」とし、「一段の苦境に直面すると予想され、経済を支え続ける必要があると考えている」と述べた。[nL4N2FU44U][nL4N2FU4F5]

ハーカー総裁はこのほか、FOXビジネス・ニュースに対し、米経済が二番底の景気後退に陥るとは予想していないとしながらも、景気回復は一様でなく、緩慢になるとの見方を表明。「回復の形は、ナイキのロゴマーク『スウッシュ』のような形になるとみている。ただ、新型ウイルス感染拡大が収束するまで、凸凹のあるスウッシュ型になる」と述べた。

その上で、年末時点の失業率は約9%になると予想。来年は米経済は3%のプラス成長を回復すると予想しているとしながらも、失業率は来年末時点でも7%前後に高止まりするとの見方を示した。

新戦略については、FRBはインフレ過熱ではなく、インフレが目標をやや超えることを容認すると述べた。

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