日産、今期3年ぶり最終黒字へ 世界販売計画は維持
ロイター / 2021年7月28日 20時59分
[東京 28日 ロイター] - 日産自動車は28日、2022年3月期の連結業績予想を上方修正した。純損益は600億円の黒字(前期は4486億円の赤字)となる見通し。北米市場での販売回復や為替の円安傾向が収益を押し上げ、3年ぶりの最終黒字となる。従来は600億円の赤字を見込んでいた。
今期の営業損益は従来予想のゼロから1500億円の黒字(前期は1506億円の赤字)に引き上げた。修正後の営業損益予想は、アナリスト21人による事前の市場予想(IBESのコンセンサス予想、1125億円の黒字)を上回った。
営業利益については、原材料価格の高騰が350億円押し下げるが、販売奨励金抑制といった採算改善などが1050億円、前提為替レートの変更が800億円それぞれ押し上げる。
足元の円安基調を受け、通期の前提為替レートは1ドル=108.4円(従来は105円)、1ユーロ=129円(同120.8円)に見直した。
今期の売上高予想は24%増の9兆7500億円に上方修正した。従来予想は15.7%増の9兆1000億円だった。今期の世界販売計画は従来通り440万台を据え置いた。
内田誠社長は会見で、半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大の影響などリスクはあるものの、構造改革は「着実に進んでいる」と強調。業績予想引き上げの理由について「米国(販売)が非常に好転してきている。為替も良い形になっている」と述べた。修正後の今期収益予想通りにいけば、通期営業利益率目標(中国合弁会社比例連結ベース)の2%も「達成できる」と語った。21年4─6月期は3.8%だった。
半導体供給不足による生産への影響は従来通りの前提を維持した。上期に約50万台の影響が出ると見込み、このうち半分は下期に取り戻し、通期で25万台に抑える前提だ。
アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は決算発表後、ロイターとのインタビューで、半導体不足の影響について「4─6月期に発生していたボトルネックの一部が解消し始めている」と説明した。ルネサスエレクトロニクスの半導体工場が再開し始めていることもあり、悪影響は緩和されるとの見通しを示した。
ただ、別の部品調達の制約も生じており、「誰もこの先のことはわからない」と指摘。7月以降の状況を見極めると話した。目下の課題は需要に応えられていないことで「どれだけ売れるかではなく、どれだけ多く(の車を)つくれるかだ」と語った。
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