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展望2022:台湾問題など高い緊張、中国流「嫌な外交」続く=美根・元日朝交渉代表

ロイター / 2021年12月29日 8時14分

日朝国交正常化交渉で日本政府代表を務めた元外交官の美根慶樹・平和外交研究所代表は、ロイターとのインタビューで、日本の安全保障を取り巻く環境について、台湾問題を中心に中国と米国の緊迫したやりとりが続くとの見通しを示した。写真は台湾の旗。10月に桃園で撮影(2021年 ロイター/Ann Wang)

[東京 29日 ロイター] - 日朝国交正常化交渉で日本政府代表を務めた元外交官の美根慶樹・平和外交研究所代表は、ロイターとのインタビューで、日本の安全保障を取り巻く環境について、台湾問題を中心に中国と米国の緊迫したやりとりが続くとの見通しを示した。軍事衝突はないとみるが、中国は米国の神経に触る「嫌な外交」を継続するとした。

<国際機関で中国が存在感>

美根氏は現在の米中関係について、中国が米国に強い姿勢で臨んでいるため、バイデン政権は「中国が将来的に台湾を攻撃すると言わざるを得ない状態」と解説。「外交的に中国流の嫌なことを続けるだろう」とし、日本の外交・安全保障環境は「高いテンション(緊張)が来年も続く」とした。

具体的には、中国が国際機関の要職獲得などを通じて国際世論を味方につける施策を引き続き進めるとみる。中国は15ある国連専門機関のうち、国際電気通信連合(ITU)、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)でトップを占めており、国際民間航空機関(ICAO)も前任のトップが中国出身だった。 美根氏は「いつの間にか4つもの国際機関トップに中国人が送り込まれており、米国はかりかりしている」と述べた。

西側諸国の一部で中国による台湾侵攻への懸念が強まっているが、美根氏は「台湾が一方的に独立宣言するようなことがなければ、中国が手出しをすることはない」との見方を示した。共産党政権による実力組織の統制は「しっかりしていると思う」とし、軍などが「暴発する可能性は少ない」と述べた。一方で、尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺などで中国船が特異な動きをみせることがあることから、「完全にコントロールされていると思えないところもある」とした。

美根氏は自身の体験を踏まえ、「(中国の)王毅外相は非常に物分かりの良い人物であるにもかかわらず、対外的には非常に(激しい言葉使いで)やり合うことがあり、軍を意識して歌舞伎をやっている」との見解を示した。

<ウイグルは日本外交の懸念材料>

中国が台湾の独立を許さないと繰り返しているのは「不満の強さを示している」と指摘。「外交関係がある国を引っぱがし、一方的に台湾を孤立化させ、中国の応援団を増やす政策を続けるだろう」と語った。台湾と国交を結ぶ国は現在14カ国。12月に入りニカラグアが断交し、中国と国交を回復した。台湾も外交攻勢を強めており、外交トップの外交部長が9月に米国を、10月に欧州を訪問した。

北京冬季五輪の外交ボイコットなどの形で西側諸国が批判を強める新彊ウイグル自治区などの人権問題については、「中国が物分かりの良い姿勢を見せる可能性はないだろう」と指摘。同時に「日本はウイグルへの思い入れが薄く、日本外交の懸念材料」とした。

*インタビューは12月13日に実施しました。

(竹本能文 編集:久保信博)

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