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アングル:インドで女性国会議員増やす法案可決、弱者配慮の政策に期待

ロイター / 2023年9月28日 10時56分

9月22日、 インドの議会で議席の33%を女性に割り当てる新法が可決されたことで、仕事や健康、教育に関して、より女性に優しい政策につながる可能性が高いと期待されている。ニューデリーの議会前で20日撮影(2023年 ロイター/Anushree Fadnavis)

Annie Banerji

[ニューデリー 22日 トムソン・ロイター財団] - インドの議会で議席の33%を女性に割り当てる新法が可決されたことで、仕事や健康、教育に関して、より女性に優しい政策につながる可能性が高いと期待されている。

インド下院が可決した翌日の21日、上院もこの画期的な法案を可決した。法案は1996年に提出されて以来、6回にわたって議会での通過が試みられてきたが、いずれも失敗に終わっていた。

インドの登録有権者9億5000万人のうち半数近くが女性だが、政治や正規労働への参加率は低い。

インドの政界は男性支配で、アナリストや運動家によれば、女性に対するハラスメントや搾取が横行している。

政府の数字を見ると、2019年の前回国政選挙後、インドの国会議員788人のうち女性はわずか104人(13%強)で、議会における男女平等に関する世界ランキングで最下位に近い位置にある。

サルミスタ・クマリ・セティ下院議員は、トムソン・ロイター財団に「政治、経済、社会のどの分野であれ、女性が代表権を得れば女性は進歩する」と語る。

インドは1993年に村議会の議席の3分の1を女性に割り当てたが、その後、ほとんどの州がこれを2分の1に増やしている。アナリストによると、新法による政策決定への影響を図る上で、この前例が判断材料となった。

女性議員は、食料安全保障、栄養、育児休暇、育児、柔軟な働き方など、女性に優しい政策を支持する可能性が高いと、議員や運動家は述べている。

また、インドは新興国の中で正規労働力への女性の参加率が最も低い国の一つだ。新法により、医療や与信へのアクセス、教育、技能訓練、仕事などの機会へのアクセスを阻む障壁を取り除くことができるかもしれない。

ニューデリーを拠点とするエコノミスト、シャミカ・ラビ氏によると、女性議員は健康や教育など「女性や子ども、社会的弱者に配慮した」質問を多くするのに対し、男性議員は国防や外交、財務などの問題に重点を置いていることがデータで示されている。

モディ首相の経済諮問委員会メンバーを務めるラビ氏は「著しい違いがある」とし「これは素晴らしい。歴史的なことだ。世界最大の民主主義国家で女性が代表になるという意味で素晴らしいことだ」と語った。

<日の目を見ない恐れ>

とりわけ保守的な農村部に住む女性たちは、セクハラから水へのアクセスに至るまで、女性議員になら安心して悩みを打ち明けられるかもしれない、と政治家や運動家は言う。

国連女性機関が今月発表したデータによると、女性主導の村議会がある地域の飲料水プロジェクトの数は、男性主導の村議会がある地域よりも62%多かった。

これまでの調査では、村議会に女性が参加することで、飲料水、インフラ、衛生、道路などの問題に対する女性の参加と反応が高まることが判明している。

しかし、今回の新法は2024年5月に予定される総選挙には適用されないため、女性がすぐに恩恵を享受できるわけではない。政府は施行が29年になりそうだと発表している。

施行には、二つのプロセスを経る必要がある。

一つは、新型コロナウィルスの大流行によって遅れている10年に1度の国勢調査の完了だ。技術的、物流的なハードルにより、調査はさらにずれ込んでいる。

二つ目は、全ての選挙区の区割り変更計画だ。

いずれも具体的な日程が発表されていないため、法律施行には何年も要するかもしれないとの指摘がある。

野党議員らは法案の即時施行を要求している。最大野党、国民会議派は抑圧された人々の議席枠を確保するため、カースト制度に関する調査も実施するよう求めている。

女性議員を増やすための運動を行っている団体、シャクティのタラ・クリシュナスワミ氏は「原則から言えば、法案は一歩前進だ。ただ、現実的には日の目を見ないかもしれないので、自滅的な法案になるかもしれない」と指摘した。

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