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焦点:中国経済、デリスキングの悪影響が顕在化 外資の退潮鮮明に

ロイター / 2023年11月28日 11時45分

11月28日、 米フロリダ州の家具会社インダストリー・ウエスト創業者兼最高経営責任者(CEO)のジョーダン・イングランド氏は、純粋な仕入れ条件だけなら中国のサプライヤーが最善だと考えつつも、地政学リスクや中国の成長鈍化を踏まえて東南アジアや東欧、メキシコからの製品調達を進めている。北京の金融街で7月撮影(2023年 ロイター/Thomas Peter)

Joe Cash Ellen Zhang Kane Wu

[北京/香港 28日 ロイター] - 米フロリダ州の家具会社インダストリー・ウエスト創業者兼最高経営責任者(CEO)のジョーダン・イングランド氏は、純粋な仕入れ条件だけなら中国のサプライヤーが最善だと考えつつも、地政学リスクや中国の成長鈍化を踏まえて東南アジアや東欧、メキシコからの製品調達を進めている。

「(中国から)軸足を移すことを目指している」と話すイングランド氏によると、本格的な米中貿易摩擦が始まった2018年に中国サプライヤーへの全面的な依存を避けるため、多くの米企業が採用したのは「中国プラス1」という調達分散化戦略だった。

それが今や「プラス10、その後で中国」に様相が変わっており、中国からの製品調達比率を50%まで下げたインダストリー・ウエストも、さらなる引き下げに動いているところだという。

今年は外国投資家が中国に対して厳しい目を向けているが、過去1カ月に公表されたデータで、ついに各国の中国リスク低減(デリスキング)の取り組みが中国経済にマイナスの影響を及ぼしているという明確な証拠が示された。

10月の製造業活動は予想外に縮小したほか、輸出の落ち込みが加速。7―9月の中国向け外国投資は四半期ベースで初めてマイナスとなり、資本流出圧力の存在がうかがわれる。

ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ上席研究員は、最新データからは外国企業が中国で稼いだ利益の再投資を減らしているだけでなく、既存の投資対象を売却して資金を本国に戻している姿が読み取れると指摘する。

ラーディ氏は、この流れは人民元を一段と押し下げ、中国の潜在成長力にとって足かせとなりかねないと警告した。

中国商務省の報道官はロイターの問い合わせに対して「中国が吸収している近年の外国投資はその規模、割合、成長率のいずれも比較的高水準を維持している」と反論している。

<長期的な成長に不安>

外国企業の間では、中国の地政学リスクや規制強化、国有企業への不当な優遇を巡る懸念はずっと前から存在してきた。ただ中国が外資に市場を開放してからの40年間で初めて、外国企業は中国の長期的な成長見通しにも不安を募らせている。

米シンクタンクのコンファレンスボードが先週公表した調査では、回答したCEOの3分の2余りが、中国の総需要はコロナ禍前の水準に戻っていないと述べた。また全体の4割は、向こう半年で中国向けの設備投資を減らし、中国での雇用を縮小すると答えた。

中国政府は表向き、今後の経済成長への自信を崩していない。世界経済は減速しているものの、政策アドバイザーらは来年の成長率目標を約5%に設定するのを支持しているし、政府は2035年までに経済規模を2倍にすることを目指している。

しかしイングランド氏は、国内市場にも製品を供給している中国のサプライヤーが果たして、深刻な不動産不況を乗り切れるのかどうか心配だと明かす。「彼らの工場の人員が500人から200人、100人になってしまわないだろうか」と口にした。

<積極受け入れ姿勢に懐疑的>

中国の李強首相は、コロナ禍後の外国企業からの投資を積極的に受け入れると宣言したが、一部の西側企業は懐疑的な目を向ける。改正反スパイ法やコンサルティング企業への家宅捜索などの要素が背景にある。

米商工会議所のマイケル・ハート代表は「中国現地で働く企業幹部は事業を継続したがっているが、米本国の取締役会が及び腰だ」と述べた。

欧州企業は、中国政府が同国製造業への融資を指示しているため公正な競争が保たれないとの懸念を呈してきた。またカナダの企業団体は、2018年から21年まで2人のカナダ人が中国で拘束され続けたことを巡る「わだかまり」が残っていると説明する。

プライベートエクイティ(PE)分野に目を向けると、アジア投資ファンドは中国になお資金を投じている。ただプレキンの調査によると、年初から11月24日までの間、中国投資専門ファンドはどの通貨建てでも資金を全く集めていない。昨年は調達額が2億1000万ドル、19年は132億ドルだった。

プリマベーラ・キャピタルの創業者フレッド・フー氏は、マクロ経済に対する不透明感の高まりや、資本市場の先行きが見えにくいこと、ハイテクや教育といった高成長業界への過去の締め付けを巡る根強い懸念に言及。「ハイテク企業や他の民間企業は公開市場で資金を調達して流動性を確保できなければならないので、現在の中国の市場環境は実体経済にとってかなりの痛手を与えている」と述べ、中国専門のPE企業は資金を東南アジアやオーストラリア、欧州に移しつつあると付け加えた。

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