米証券決済「T+1」が始動、一時的なフェイル増加など警戒する声
ロイター / 2024年5月29日 7時46分
米国の株式や社債などの証券取引で5月28日、決済期間が売買成立(約定)後2営業日(T+2)から1営業日(T+1)に切り替わった。2020年11月、ニューヨークで撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)
Laura Matthews
[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米国の株式や社債などの証券取引で28日、決済期間が売買成立(約定)後2営業日(T+2)から1営業日(T+1)に切り替わった。米証券取引委員会(SEC)が昨年2月、カウンターパーティーリスクの低減や、資本効率化と流動性の改善を目的とした規則改正を行ったことに基づく。
市場関係者の間では、大きな混乱は起きないとの見方が大勢だが、一時的なフェイル(予定日までに証券の受け渡しが完了しない事態)の増加などを警戒する声も広がっている。
米国投資信託協会(ICI)の証券事業ディレクター、RJ・ロンディニ氏は「リスクや証拠金、担保の減少といった想定通りのメリットが見込まれるし、決済完了比率に重大な影響を及ぼさずにそうした展開になると期待している」と述べた。
実際、銀行やカストディアン、資産運用会社、規制当局などの関係者はこの週末、決済期間短縮が円滑に進むよう作業を進めてきた。
ただ調査会社バリューエクスチェンジによると、フェイル発生率はT+1移行で現在の2.9%から4.1%に高まる、というのが平均的な市場参加者の見立てだ。
SECも、短期的にはフェイル発生率が上昇するかもしれないとみている。
あるフィンテック企業幹部は、一部の市場参加者は決済期間短縮で生じる恐れがある各種問題に対応するため、手元に多めの流動性を確保し続けていると述べた。
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