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アングル:総会開催で苦悩する企業、感染対策で「バーチャル」に弾みも

ロイター / 2020年2月28日 18時50分

 新型コロナウイルスによる感染症の拡大に終息の兆しが見えないなかで、企業は定時株主総会の開催で頭を悩ませている。写真は2016年2月、都内で撮影(2020年 ロイター/Yuya Shino)

平田紀之

[東京 28日 ロイター] - 新型コロナウイルスによる感染症の拡大に終息の兆しが見えないなかで、企業は定時株主総会の開催で頭を悩ませている。感染防止策を講じながら通常通りの会場開催を決める企業が多いが、オンラインでの視聴・議決権行使を併用する「ハイブリッド」の総会を開催する企業も出始めている。感染防止の取り組みが、今後のオンラインの活用に弾みをつけるとの見方もある。

3月末にはキヤノン<7751.T>、ブリヂストン<5108.T>、アサヒグループホールディングス<2502.T>など12月決算の企業の株主総会が集中する。これまでのところ、12月決算企業の多くは、通常通り会場での開催を行う予定だ。

政府は感染症対策の基本方針の中で多くの人が集まるイベントについて「感染の広がり、会場の状況などを踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請する」と示したが、株主総会は法定事項のため開催自体は避けられない。

総会の延期は可能と解釈されるが、株主が権利を行使する「基準日」が変更され、配当の権利確定日が変わることで株主利益が損われるリスクも指摘されている。

企業は参加する株主に対し、手洗いやうがいといった感染防止の基本対策を促すことになるが、会場を訪れなくても書面投票やインターネット投票などの参加手法があることを「改めて周知する」(ブリヂストン)企業もある。

政府の対策専門家会議で副座長を務める地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は、感染のリスクの高い空間について、病院のほか「大人数でお互い、正面で腕と腕を広げれば届く距離で会話などをして過ごすような場所」と話す。

卒業式や入社式といった大規模な集会では、会場に入る前に手を洗い、整列し「離れた場所で壇上からの談話を聞いても感染することはない」が、その後に懇親会などを開く場合にリスクが高まると指摘している。

株主総会の助言をするアイ・アールジャパンの白石直樹証券代行業務部統括部長は、総会の招集通知に記載されている報告事項などの説明を省略して時間を短縮するといった工夫が重要と話している。 

<バーチャル総会はまず「ハイブリッド型」から>

ネットを活用した総会も、今後の選択肢に入ってきそうだ。その地ならしは、経済産業省が進めている。26日には「バーチャル株主総会の実施ガイド」を公表。会場での「リアル株主総会」を開催すると同時に、会場の外から株主がインターネットなどで参加・出席する場合の法的・論点整理を行っている。

米国では、2018年に300社程度がバーチャル株主総会を実施。日本では、会社法で想定されている会場での開催に、オンラインでの出席を加えた「ハイブリッド型」が現行法でも実施可能。オンラインで傍聴するだけの「参加型」はこれまでにIT企業を中心に導入事例があり、議決権行使なども行う「出席型」は富士ソフト<9749.T>が3月13日予定の総会で実施する方向だ。

富士ソフトは自前でシステムを構築。オンラインでの動議の提出は受け付けないが、質問や議決権の行使は可能だ。会場のライブ配信を視聴するには米マイクロソフトの基本ソフト(OS)を搭載したパソコンが、議決権の行使では米アップルのタブレット端末が、それぞれ必要となるが、富士ソフトは「希望する株主には利用してほしい」と話している。

アイ・アールジャパンの白石氏は、オンラインを活用する動きについて、もともとITの進化や株主の利便性向上の観点から今後、増えていく方向と見ており「新型肺炎の広がりが、普及を後押しする面もありそうだ」と指摘している。

バーチャル株主総会が広がるには、セキュリティやコメントの取り扱いなどの機能を入れたシステム作りが必要となる。個社での対応は難しく、共通のプラットフォームが開発されれば、企業も取り入れやすくなるとみられる。

(取材協力:清水律子 編集:石田仁志)

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