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アングル:決算序盤の株価反応は渋め、増益予想でも外部環境が不透明

ロイター / 2022年4月28日 18時21分

 国内企業の決算シーズンを迎えたが、序盤の株価反応はさえない。写真は東京証券取引所で2013年5月撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)

平田紀之

[東京 28日 ロイター] - 国内企業の決算シーズンを迎えたが、序盤の株価反応はさえない。半導体関連企業などで足元の業績は堅調だが、外部環境の不透明感が強いことから「投資家の目線は厳しい」(国内運用会社)という。中銀イベントなどを経た大型連休後に、円安効果などが再評価されるかが焦点となる。

<好業績でも短い株高期間>

渋めの株価反応の典型がディスコだ。半導体メーカーの旺盛な設備投資を背景に、2022年3月期の連結営業利益は前期比72.3%増の915億円と2期連続で過去最高益を更新。2022年4─6月期(第1・四半期)の営業利益も前年同期比43.7%増の見通しだ。

工場はフル稼働で引き続き人手不足が課題となっているが、4─6月期の為替の前提レートは1ドル=115円で円安効果も期待できる。しかし、好調な業績にもかかわらず、株価の反応はいまいち。翌日の株価は素直に反応して一時5%超高となったが、その翌営業日には早くも利益確定売りが優勢となり反落した。

キヤノンは2022年12月期の連結営業利益予想(米国会計基準)を上方修正した。印刷、半導体関連などで需要が堅調なほか、円安が追い風となる。記者会見した御手洗冨士夫会長は、円安は業績に「非常に大きなプラスとなっている」と述べた。

だが、株価反応は鈍い。翌日の株価は大幅安でスタート。売り一巡後は下げ渋ったが結局、マイナスで引けた。これまでのところ「短期投資家の値幅取りにとどまっている」(国内証券)とみられている。

<市場は「不透明感」に神経質>

市場の厳しい反応は、外部環境が不透明で先行きを見通しにくくさせていることが一因だ。「増益予想を出しても、本当に増益になるか市場は懐疑的になっている」と、みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは指摘する。

JSRは、市場予想を上回る営業利益の見通しを示したほか、発行株の5%近い自社株買いも発表したが株価は売られた。「会社の見通しは楽観的」(国内証券)との見方が出たためだ。

野村証券の岡嵜茂樹リサーチアナリストは、JSRの自社株買いを前向きに評価する一方、短期業績は市場期待に対してやや伸び悩むとの見方を25日付リポートで示した。バイオ医薬の受託製造の売り上げが、生産性の伸び悩みや資材調達の遅れなどで伸び悩んでいるとし「前期比50%程度の会社増収計画の蓋然性は現時点では乏しい」と指摘。目標株価を従来の3490円から3260円に引き下げた。

市場では「甘い見通しを示す銘柄は、よほど確信が伴わなければ、今の局面では買われないだろう」と、いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は指摘する。

27日の取引時間中に決算を発表したキッコーマンは、株価が急落した。22年3月期の連結営業利益は前期比21.6%増と堅調だったが、今期業績見通しの公表を見送ったためだ。ウクライナ情勢で原材料や原油価格が上昇しているほか、為替の変動も大きく、数値を示すのが困難としているが、「市場は不透明感を嫌っている」(別の国内証券)という。通期見通しを公表しなかったエムスリーも、好業績ながら売りが先行した。

ただ、不透明感が薄らげば好業績の再評価も期待されている。いちよしAMの秋野氏は、インフレのピークアウトを確認するまでは長期資金は動きにくいとしながらも、5月3─4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などを通過し、過度なタカ派警戒が和らいで米金利が低下すれば、「バリュエーション調整の進んだ銘柄には、短期的に資金が入りやすくなる」との見方を示している。

SMBC日興証券の集計では、TOPIXに採用される3月決算企業の2023年3月期の通期純利益予想は、27日までの発表分(113社、開示率7.8%)で前年比16.9%増となっている。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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