アングル:フロンティア市場に投資妙味、新興国よりトランプ政策の影響低い
ロイター / 2025年1月28日 14時23分
1月27日、トランプ米大統領の通商政策を巡る不確実性が高まっていることを受けて、新興国投資家の間でフロンティア市場に目を向ける動きが出ている。写真はザンビアの紙幣。2024年2月撮影(2025年 ロイター/Namukolo Siyumbwa)
Libby George
[ロンドン 27日 ロイター] - トランプ米大統領の通商政策を巡る不確実性が高まっていることを受けて、新興国投資家の間でフロンティア市場に目を向ける動きが出ている。
トランプ氏の返り咲きを受けてメキシコペソは乱高下。中国に対する投資意欲も一段と低下しており、新興国市場の黄金期への期待は薄れている。
その一方で、投資家の注目を集めているのが、トランプ氏の関税の対象にならないとみられている一部のアフリカ、東欧、アジア、中南米諸国などのフロンティア市場だ。
投資家によると、セルビアなどの国には堅調な経済成長という魅力があり、ガーナ、ザンビア、スリランカはデフォルト(債務不履行)からの脱却で改革と経済成長に注力できる体制が整う。
フォントベルの新興国市場ポートフォリオマネジャー、ティエリー・ラローズ氏は「フロンティア市場は、他の市場よりも影響を受けにくいだろう。ナイジェリア、スリランカ、パラグアイといった国が、トランプ政権にとって差し迫った標的になるとは思えないからだ」と指摘。「こうした新興国には特有のリスクがあるが、主要新興国とは違い、リスクオン、リスクオフの影響をほとんど受けない」とし、「資産分散化の極めて強力なエンジンになる」と述べた。
エルステ・アセット・マネジメントのシニアファンドマネージャー、アントン・ハウザー氏は、セルビアの自国通貨建て債のような資産は、東欧の経済成長を取り込む良い賭けになると指摘した。
<高利回りで高パフォーマンス?>
昨年はアルゼンチン債、レバノン債、ウクライナ債、エクアドル債など、非常にリスクの高い一部の債券が目を見張るパフォーマンスを残した。
多くの投資家は、今年も各国特有の事情がリターンを左右すると予想している。
バンガードの新興国市場共同責任者ニック・アイジンガー氏は「ハイイールド債もここ数カ月、総じて非常に好調だ。引き続き投資妙味があると思う」と指摘。特にアフリカのフロンティア市場は「地政学的な要因やグローバルマクロの要因で体系的な影響を受ける可能性は低い」と語った。
投資家はエジプト、ナイジェリア、ドミニカ共和国など、さまざまな投資先を挙げている。外国からの資金調達に苦戦している国が多い。
<トルコや南アに投資妙味との声>
フロンティア市場以外の主要新興国では、トルコと南アフリカに期待が持てるとの声が出ている。
トルコは2023年にオーソドックスな経済政策を再開し、海外勢の人気の投資先になっている。最近始まった利下げサイクルや、シリア、ウクライナの再建が経済に寄与する可能性がある。
南アフリカは、対米輸出への依存度が低く、原油安で恩恵を受ける可能性があるほか、さまざまなコモディティー輸出が地政学的な混乱を乗り切る助けになるとの見方が出ている。
ソシエテ・ジェネラルのCEEMEA地域戦略責任者、マレク・ドリマル氏は、エジプトの為替フォワードやケニアの短期国債にも投資妙味があるとの見方を示した。
一方でリスクもある。トランプ氏がパナマ運河を「取り返す」と発言したことを受けて、JPモルガンはパナマ国債の投資判断を引き下げた。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの新興国市場責任者、マグダ・ブラネット氏も「(中国による迂回輸出の経由地になっている)メキシコ、ベトナム、マレーシアはさらに標的にされるだろう。トランプ氏はこうした抜け穴をふさごうとするはずだ」と述べた。
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