アングル:米ハイテク株急落、超大型株依存のリスク鮮明に
ロイター / 2025年1月28日 16時20分
1月28日、前日の米株式市場では中国の新興企業ディープシークが開発した低コスト人工知能(AI)モデルへの動揺が広がり、一部の大手ハイテク株が急落した。写真は2024年12月、ニューヨーク証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Lewis Krauskopf Laura Matthews
[ニューヨーク 28日 ロイター] - 27日の米株式市場では中国の新興企業ディープシークが開発した低コスト人工知能(AI)モデルへの動揺が広がり、一部の大手ハイテク株が急落した。巨大ハイテク企業への依存という米株市場が抱える大きなリスクが改めて浮き彫りになった格好だ。
昨年のS&P総合500種指数のトータルリターン(25%)の半分以上は、エヌビディアなど「マグニフィセント・セブン」によるものだった。
マグニフィセント・セブンは現在、S&P総合500種指数のウエートの3分の1、ナスダック100指数のウエートの約45%を占める。
ホライゾン・インベストメント・サービスのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は「マネーが一極集中すると、今回のような売りが出るリスクがある。投資家が今後どのようなポートフォリオを構築するのかという問題が浮上することは間違いない」と指摘。
レイリアント・グローバル・アドバイザーズの最高調査責任者、フィリップ・ウール氏は「AIという投資テーマにとって、ディープシークがどれほど大きな脅威となるかは不明だが、市場センチメントの潮目が変われば、これまで取引が集中していた銘柄群がリスクにさらされることは明らかだ」と述べた。
マインドセット・ウェルス・マネジメントのマネジングパートナー、セス・ヒクル氏は、ディープシークのニュースで株価が不安定になったことを受け、エヌビディアのオプションを通じて、よりディフェンシブなポジションを構築した。
同氏は「(エヌビディアは)非常に広く保有されており、年金プランやパッシブ型ファンドで資産を運用している全ての米国人に影響する」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのアナリストは、AIモデルが従来想定されていたよりも少ない高性能計算能力で効果的に訓練できることが明らかになれば「米株市場にさらに大幅な調整リスクがある」との見方を示した。
<相場の転換点か>
カーネギー・インベストメント・カウンセルのマネジングディレクター、シャムス・アフザル氏は、巨大ハイテク株が指数に占めるウエートが上がっており、指数連動型ファンドでは「過去10年のような非常にパッシブな運用はできないことになる」と述べた。
27日の米株式市場では、一部のハイテク株が上昇。サイバーセキュリティーのパロアルトネットワークスやソフトウエア企業のサービスナウがともに約1%値上がりした。
コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、ティファニー・ウェイド氏は、ディープシークのニュースを受けて、エヌビディアの一強体制が崩れ、他のハイテク株の主導権が相対的に高まるのではないかと分析。
ホライズンのカールソン氏をはじめとする市場関係者は、27日のAI関連株の値動きが「転換点」となり、市場のけん引役の交代や、近年株価が低迷していたセクターへの資金シフトが起きるかどうかを見極めようとしている。27日の急落が過剰反応だったのではないかと考える市場関係者は少なくない。
今週はマグニフィセント・セブンのうち、アップル、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、テスラの4社が決算発表を予定しており、巨大ハイテク企業の真価がさらに問われることになる。
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