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アングル:米政府の対外援助削減、世界中の人道支援が危機に

ロイター / 2025年1月29日 8時30分

 トランプ米大統領の対外援助の大幅削減に向けた動きにより、タイの難民キャンプの野戦病院、紛争地帯での地雷除去、エイズウイルス(HIV)などの病気に苦しむ数百万人を治療するための医薬品などが削減の危機に直面している。写真は、米国国際開発庁から提供された新機材を手にするウクライナの救助隊員ら。2023年7月、キーウで撮影(2025年 ロイター/Alina Smutko)

Thomas Escritt

[ベルリン/バンコク/ロンドン 28日 ロイター] - トランプ米大統領の対外援助の大幅削減に向けた動きにより、タイの難民キャンプの野戦病院、紛争地帯での地雷除去、エイズウイルス(HIV)などの病気に苦しむ数百万人を治療するための医薬品などが削減の危機に直面している。

トランプ氏は先週、自身の「米国第一」主義との整合性を評価するために米国国際開発庁(USAID)を通じた対外開発援助を90日間停止する大統領令に署名した。

人道支援団体や国連機関によると、もし資金拠出の凍結が恒久的になれば、食料や避難所、医療の提供能力が大幅に制約される恐れがある。

米国は世界の人道援助に対する最大の貢献国となっている。2024年には139億ドルを供給したと推計されており、これは国連がフォローしている援助全体の42%を占める。

ミャンマーからの難民約10万人が避難しているタイのキャンプの診療所は、米国が国際救済委員会(IRC)への資金提供を凍結後に停止を命じられた。

また、ロイターが確認したメモによると、米国の対外援助の削減は数百万人が依存している世界中のHIVやマラリア、結核の救命薬の供給にも影響を及ぼす。

USAIDから請け負っている業者やパートナーは28日、直ちに任務を止めるように命じたメモを受け取り始めた。

「これは壊滅的だ」とUSAID長官補を今月退任したアトゥール・ガワンデ氏は訴える。「寄付された医薬品によって2000万人のHIV感染者が生存している。それが今日で止まってしまうのだ」。さらに、米国の対外援助削減は23カ国の計650万人のHIV感染孤児と脆弱な子どものために活動している団体に打撃を与えると指摘した。

世界食糧計画(WFP)のアフガニスタン担当ディレクター、シャオウェイ・リー氏はロイターに対し、WFPがアフガニスタンへの援助に必要となる資金の既に約半分しか受け取っておらず、600万人超が「パンとお茶だけで」生き延びていることを考えると先行きを懸念していると語った。

国連によると、米国は2024年にWFPに対して47億ドルを拠出しており、全体の54%を占める。

<地雷対策と教育にも打撃>

地雷禁止国際キャンペーンによると、米国は2023年に総額3億1000万ドルを拠出した最大の地雷対策支援国となっており、世界全体の支援額の39%を占めた。除去されていない地雷が最も多くの人命を奪っている国にはシリアやミャンマー、ウクライナ、アフガニスタンなどがある。

米国務省は今月26日、米政府は納税者のドルの管理者としての役割に基づき、米国の国益に焦点を合わせる必要があるとして「トランプ氏は、米国はもはや米国民に見返りのないお金をやみくもにばらまくつもりはないと明言した。勤勉な納税者のために対外援助を見直し、再編するのは正しいことであるだけでなく、道徳的な要請でもある」とコメントした。

ウクライナの教育システムの改善のために教員を養成している非政府組織(NGO)、ティーチ・フォー・ウクライナのオクサナ・マティアシュ理事長は、ウクライナのNGO分野で混乱が起きていると明らかにした。

マティアシュ氏はリンクトインに「凍結されたのは資金だけではない。全ての助成金の背後には、想像を絶するような状況で働く実際の人々がいるのだ」と書き込んだ。

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