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焦点:悩ましい来年の米ハイテク株投資、影響力低下に懸念も

ロイター / 2020年12月29日 14時35分

 12月28日、来年の米株式市場においてハイテク株の影響力は低下するのだろうか──。バリュエーションの高騰や規制面のリスク、バリュー株の復活などで相対的な魅力が失われる恐れが出てきたハイテク株を巡り、投資家は今、この問題に悩んでいる。11月、ニューヨークで撮影(2020年 ロイター/Carlo Allegri)

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 来年の米株式市場においてハイテク株の影響力は低下するのだろうか──。バリュエーションの高騰や規制面のリスク、バリュー株の復活などで相対的な魅力が失われる恐れが出てきたハイテク株を巡り、投資家は今、この問題に悩んでいる。

今年の米主要指数を最高値まで押し上げた原動力は、間違いなくハイテク株の大幅な値上がりだ。アップルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの上昇だけで、年初から今月16日までに記録したS&P総合500種の総合リターン(16.6%)の半分強を占める、とS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのシニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏は説明する。

ところがここ数週間、新型コロナウイルスワクチンの普及で景気回復が本格化するとの期待を背景に、それまで比較的敬遠されていたエネルギー、金融、小型銘柄などのバリュー株買いが活発化するとともに、ハイテク株は脇役の座に追いやられた。有望なワクチンのデータが発表された11月初め以降、ラッセル1000バリュー株指数が10%上がったのに対して、ハイテク株に代表されるラッセル成長株指数は4%の上昇にとどまっている。

こうした株式市場のけん引車の交代劇がいつまで続くかは分からない。ただ足元の事態は、過去10年にわたって投資家が直面してきたジレンマを改めて浮き彫りにしている。つまりハイテク株への投資比率を絞れば損をすることが過去何年も証明され、新型コロナウイルスのパンデミックはハイテク株の追い風を強めた半面、バリュエーションは約16年ぶりの高水準に達し、特に米経済の活動再開によってバリュー株が持続的に買われるようになった場合、ハイテク株の足場がもろくなるのではないかとの不安が増しているのだ。

アライ・インベストのチーフ投資ストラテジスト、リンゼー・ベル氏は「既存のハイテク株投資は堅持されるだろうが、来年多くの新規資金がハイテクセクターに流入してくるとは思われない」と述べた。

S&P総合500種の時価総額における情報技術株の比率はおよそ37%に上り、同指数の動きや投資家のポートフォリオに及ぼす影響は他のセクターを圧倒する。バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチの機関投資家調査では、ハイテク株の買い持ちが8カ月連続で「最も混雑した取引」となっている。

現在株価収益率(PER)が26倍のハイテク株は、今年こそ数少ない利益を計上するセクターになる見通しだが、リフィニティブのIBESデータに基づく来年の増益率は、S&P総合500種企業全体が23.2%と予想されるのに対し、14.2%にとどまる。

アリアンツ・グローバル・インベスターズの米投資ストラテジスト、モナ・マハジャン氏は「過去数週間続いてきたバリュー株への循環物色は、来年も持続するとの見方を変えていない」と話す。

米国と欧州の規制当局が、アルファベット子会社グーグルやフェイスブックの市場における優越的な地位を抑えようとしていることも、ハイテクセクターにとって重圧になりつつある。

一方、低成長局面をしっかり乗り切れる事業だと判明しているハイテクセクターに、資金を振り向け続けていることに満足している投資家も少なくない。実際、先行き不透明感が高まるごとに、投資家がハイテク株を買う傾向が最近は顕著だ。

アダムス・ファンズのマーク・ステックル最高経営責任者(CEO)は「ハイテクから得られるほど予見可能な成長をもたらすセクターは極めて乏しい」と強調する。傘下の株式ファンドの保有銘柄最上位はマイクロソフト、アップル、アマゾンが占めている。

リッパーのデータによると、ハイテク株の比率が高いナスダック100指数に連動するインベスコQQQトラストの預かり資産は今月、過去最高水準を記録した

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏は、来年持ち直した景気はその後また成長が鈍るとの予想を示した上で、そうなるとハイテクのように本業の成長力が高く、相対的に多くのキャッシュフローを生み出せる企業の株式保有意欲が強まると指摘した。

BMOキャピタル・マーケッツは来年のハイテク株の投資判断を「マーケット・ウエート」に引き下げながらも、投資家に対しては売るよりもポジションを保つよう促している。

(Lewis Krauskopf記者)

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