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インタビュー:次世代撮影事業、市場の伸び上回る成長見込む=ソニー幹部

ロイター / 2023年9月29日 18時33分

ソニーグループは、成長領域に掲げる次世代撮影技術「バーチャルプロダクション(VP)」に一段と力を入れる。今月発表したカメラは従来機より小型化し、ディスプレーは撮影状況に応じて簡単に大きさを変えられるようにするなど使い勝手を高めてユーザーのすそ野を広げようとしている。写真は東京にあるソニーのスタジオ。9月20日撮影(2023年 ロイター/Sam Nussey)

Miho Uranaka Sam Nussey

[東京 29日 ロイター] - ソニーグループは、成長領域に掲げる次世代撮影技術「バーチャルプロダクション(VP)」に一段と力を入れる。今月発表したカメラは従来機より小型化し、ディスプレーは撮影状況に応じて簡単に大きさを変えられるようにするなど使い勝手を高めてユーザーのすそ野を広げようとしている。

傘下のソニーでVPを統括する野村泰晴事業部長はロイターとのインタビューで、「市場を上回る成長を見込む」と語った。

VPは、大型ディスプレーに映し出した三次元(3D)映像を背景に役者が演技をし、それを専用カメラで撮影。室内にいながら屋外でロケをしたように見せたり、現実にはない背景を作り出すことが可能で、ソニーGはハードとソフトの技術で映像制作の自由度を上げることを目指している。

来春新たに投入するカメラは価格を抑えるとともに、手持ち撮影もできるよう小型・軽量化した。複数枚を組み合わせて一枚の大型画面として使うディスプレーは、組み立て時間を大幅に短縮し、撮影場面に応じてこれまでより簡単に大きさを変えられるようにした。

野村事業部長は「クリエイターの事業領域を増やし、すそ野を広げる」と狙いを話した。

調査会社グローバルインフォメーションは、2022年に21億5000万ドルだったVPの市場規模が27年には46億8000万ドルまで年率16.8%で拡大すると予測する。ソニー自身は20年度から25年度まで売上高が年平均35%のペースで伸びると予想する。

韓国サムスン電子がパネルで攻勢をかけるほか、その他の競合によるカメラや専用スタジオへの参入も進んでいる。競争は激しくなるが、シティグループ証券の江沢厚太アナリストは、「市場はまだ黎明期にあり拡大するチャンスがある」と解説する。

臨場感あるVPを実現するには、仮想映像を高精細に映し出すLEDパネル、高画質の映画撮影用カメラが鍵を握る。今は映画や音楽、ゲームといったエンターテインメント事業が業績をけん引するソニーGだが、創業のエレクトロニクスメーカーとして蓄積してきた技術が生きていると、同社は説明する。

「ハードウエアの技術があるからバーチャルの世界でも現実と同じように再現できる」と、野村氏は述べた。

カメラは「トップガン マーヴェリック」や「グランツーリスモ」など話題の映画への採用も広がっている。グループ内に米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントなどが存在し、「コンテンツを作るクリエイターに近いのが(技術開発において)大きなメリット」と野村氏は指摘。「撮影したいだけならiPhoneでいいが、クリエイターが本当に使いたいカメラを開発している」と語った。

カメラワークに合わせて3Dの背景をリアルタイムに動かし、撮影した映像を後処理する技術も必須で、2020年から22年にかけて14億5000万ドルを出資した米ゲーム会社エピックゲームズの技術が貢献しているという。

現在はハードの売り上げが事業をけん引しているが、準備に時間がかかる撮影前の作業から撮影後の作業を請け負うサービスやソフトウェアも立ち上げることでシェア拡大を狙う。背景となるコンテンツを40本以上保有する映像制作会社ソニーPCLのクリエイティブ部門の伊藤隆嗣統括部長は、「クリエイターと共に制作し、アウトプットする。この循環が特徴」と語った。

*インタビューは28日に実施しました。

(浦中美穂、Sam Nussey 編集:久保信博)

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