焦点:米FOMC、銀行融資見通し注視 第2次トランプ政権初会合
ロイター / 2025年1月29日 18時6分
米連邦準備理事会(FRB)は1月28、29の両日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。政策金利の誘導目標は4.25―4.50%で据え置かれるのがほぼ確実だ。2022年6月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Sarah Silbiger)
Michael S. Derby
[28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は28、29の両日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。政策金利の誘導目標は4.25―4.50%で据え置かれるのがほぼ確実だ。今回は第2次トランプ政権下で初めての会合で、根強いインフレと堅調な成長傾向に政権の経済政策がどのような影響を及ぼすのかを巡って検討に着手する。
議論では、銀行が融資拡大に向けた準備が整っていることを示す信用データが取り上げられる可能性が高い。ただ、経済を取り巻く環境の先行き不透明感や、政策金利の高止まりに伴う実体経済の借入コストを背景に、銀行融資増加の見通しは複雑になっている。
第2次政権発足を受け、銀行経営陣は先行き見通しに楽観的だが、FOMCメンバーらは、上級銀行融資担当者調査(SLOOS)の最新結果に基づき、融資実務の最前線に最も近い関係者も同様に楽観的なのかどうかを見極める見通しだ。
トランプ氏は金融機関や企業向け規制緩和を確約しており、借り入れや貸し出しの増加をもたらす可能性がある。一方で、高止まりするインフレに連動して依然割高な借り入れコストが信用需要を減退させる恐れがある。
同時に、積極的な関税政策と不法移民の強制送還の政策も先行きの不確実性を大きくしている。
こうした状況を受け、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は今月初め、政府の政策環境が不安定なため政策金利のフォワードガイダンスを提示できないと述べている。
RSM USのチーフエコノミスト、ジョセフ・ブルスエラス氏は、トランプ氏の政権返り咲きが「かなり大がかりな規制緩和を伴う」ため、銀行経営陣は景気の堅調も相まって融資が以前よりも容易になると「浮き足立っている」と語った。
パイパー・サンドラーのチーフ・グローバル・エコノミスト、ナンシー・ラザル氏は、融資は増加する見通しだが、政策や経済面の逆風があるため、「信用サイクルの大きなブームにはならないだろう」と警戒感を示した。
銀行は既に商業・産業向け融資で停滞しているが、信用市場の多くの分野では総じて貸出は増えている。
こうした新しい金融環境の特徴について両氏は、昨年11月公表のSLOOSに現れ始めていた貸出基準の緩和が要因とみている。今回のFOMCの討議資料となる最新調査結果は2月3日に公表される。ラザル氏は「貸出基準が大幅緩和を示した内容だろう」と予想している。
また、イールドカーブが順イールドに戻っていることも融資見通しに追い風だ。ニューヨーク・ライフ・インベストメンツのチーフマーケットストラテジスト、ローレン・グッドウィン氏はトランプ氏の政権返り咲き前から規制緩和の傾向が続く中、順イールド化は銀行収益に恩恵となり、融資の促進につながるだろうと語った。
銀行貸出と信用需要の増加は、新たな景気拡大サイクルの初期の現象と言うよりも、現在進行中の景気拡大の中で起こっているため、注目に値する。
ただ、ラザル氏は「短期的なリスクとしてインフレがあると思う」と述べる。物価上昇率がFRBのインフレ目標2%を依然上回って推移する状況に拍車をかけるリスクがあるという。
インフレ環境は銀行の融資拡大意欲の足かせの一つとなる。FRBは昨年、政策金利の誘導目標を計1%ポイント引き下げた後、今年は利下げペース見通しを後退させた。それに伴う銀行借り入れコストの上昇はほぼ確実に住宅ローン業界に打撃となり、消費者であろうと企業であろうと、借り入れが困難になるだろう。
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