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ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

ロイター / 2020年5月1日 0時2分

欧州中央銀行(ECB)は30日開催の理事会で、主要政策金利と中銀預金金利を据え置いた。資産購入プログラムの規模は維持したものの、市中銀行への長期資金供給策については金利をマイナス1%まで引き下げる方針を示した。写真はラガルド総裁。フランクフルトで3月撮影(2020年 ロイター/Ralph Orlowski)

[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は30日開催の理事会で、主要政策金利と中銀預金金利を据え置いた。資産購入プログラムの規模は維持したものの、市中銀行への長期資金供給策については金利をマイナス1%まで引き下げる方針を示した。

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<資産買い入れ>

資産買い入れプログラム(APP)については討議しなかった。ただ、われわれは完全に柔軟であると改めて述べたい。われわれは全ての選択肢を検討する。ECBの金融政策スタンス、および金融政策の伝達がともに確実に効果的であるようにしていく。

<欧州連合(EU)による行動が必要>

理事会は、回復に向けた準備を整え、これを支えるために一段と力強く、かつ時宜を得た取り組みを実施するよう呼び掛ける。

そうした意味で、この未曽有の危機に対応するための回復基金の設立に向けた欧州理事会の合意を歓迎する。

<第2・四半期は深刻な減速>

4月に経済活動が急速に減速したことを踏まえると、(新型コロナウイルスの感染拡大による)影響は第2・四半期はさらに深刻になることが予想される。

<支援の継続>

理事会は中期的な物価安定の維持に向け、現在の経済の混乱や不透明性の高まりに直面している家計や企業を引き続き支援していく決意だ。

<共同の政策行動が必要>

下方リスクの抑制と回復下支えに向けた共同かつ協調した政策行動が必要だ。

<GDPは最大12%減に>

ECBのスタッフ予想によると、今年のユーロ圏の域内総生産(GDP)は5─12%減少する可能性がある。新型コロナ感染拡大防止に向けた制限措置がどの程度の期間継続するか、企業や雇用者が直面する経済的影響を緩和する策が奏功するかどうかによって左右される。

<異例の縮小>

ユーロ圏は平時では前例のない規模と速度の経済縮小に直面している。新型コロナ感染拡大防止に向けた制限措置によって、ユーロ圏および世界各国の経済活動はほぼ休止状態にある。

<PEPPは21年まで継続の可能性>

パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は他のプログラムとは異なり、的を絞った時限的で柔軟なプログラムだ。PEPPの期間は理事会が決定する。20年末前に終了することはないが、新型コロナ危機がどの程度長引くかを踏まえ決定される。20年末を超えて継続する可能性がある。

<柔軟な政策>

ECBの金融政策効果が適切に経済の全てのセクターに波及することを確実にするために、われわれの責務に沿って全ての柔軟性を活用していく。

<PEPPを必要な限り拡大>

PEPPの規模を必要な限り拡大し、必要な限り期限を延長し、構成内容を調整する完全な用意がある。

<物価動向に対応する用意>

シンメトリック(上下に対称的)であることに対するコミットメントに沿って、インフレ率が持続的に目標に向かって確実に動いて行くよう、理事会には全ての政策措置を適切に調整していく用意がある。

<金融政策が行き渡ることにコミット>

物価安定を巡る責務の追求において、金融政策が経済のあらゆる部分、およびあらゆる管轄域に行き渡るようにするECBの役割を果たすことを最優先する。

<金利は現在の水準以下へ>

インフレ見通しが予想期間において2%未満だがその近辺にしっかりと収束するまで、金利は現在の水準もしくはそれ以下にとどまる見込みだ。インフレ見通しの収束は基調的な物価動向に反映されている。

<必要なことは全て行う>

同時に、現在の急速に進行する経済環境の中で、理事会はこの非常に困難な時期にユーロ圏の全市民を支援するため、責務の範囲内で必要なことは全て行うことを引き続き完全に約束する。

<APP>

APPの下での毎月の純資産買取は、政策金利の緩和的効果を上げるため必要な限り継続し、主要金利の引き上げ開始直前に終了する見込みに変わりない。

<PLTRO>

市中銀行を対象としたパンデミック長期資金供給オペ(PLTRO)は、ユーロ圏金融システムの流動性状況を支えるとともに、効果的な流動性のバックストップ(安全装置)を提供することで、短期金融市場の円滑な機能の維持に貢献する。

<PEPPは実体経済のため>

貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)に加え、このPEPPはマイナス1%ポイントまでの低下が可能で、大企業から個人事業主に至るまでの実体経済に信用が流れることを目的としている。

銀行がレバレッジを行わず、完全なエクスポージャーを維持し、経済に信用を提供し続けることを確約する場合、こうした有利な金利での資金調達が可能になる。

<出口戦略>

向こう数週間でドイツの規制、規定、助言がどのように展開するか、また金融システムをリスクにさらすことなく、どのようにECBが出口戦略を行使できるか検証していく。

ECBは出口戦略の選択肢を検証している。ただ、(新型コロナウイルス感染拡大の抑制に向けた)ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)措置のほか、「ニューノーマル(新常態)」に生活を移行させていく方法を踏まえると、向こう数カ月以内に実現することではない。

われわれは長期的な視野で見ており、いわゆる「ニューノーマルへの回帰」は2021年になるとみている。

このため、現時点では段階的な動きとなる。段階的に動いていくに当たり2つの重要な事項がある。1つ目はECBのスタッフが健康を維持すること。2つ目は、ECBは自らが担う責務を尊重しており、ユーロ圏の市民に対する責任を果たしていくということだ。

<ジャンク債買い入れ>

現時点でAPPの対象に関する枠組みの変更について討議していない。PEPPについては、すでにギリシャ国債の要件を免除している。

また、繰り返し表明するが、ECBは金融政策などの効果波及を阻害する断片化は容認しない。そのため、こうした理念を念頭に置き、われわれの責務に基づき、ECBは必要に応じ調整していく。

<断片化は容認せず>

ECBは断片化のリスクを容認しない。潤沢な流動性、経済への信用の流れを確実にすることを目指す。さらに、れわれの金融政策スタンスや政策伝達が効果を発揮し、われわれの決定から恩恵を受ける必要がある国を支えていくことを確実にしたい。ECBは全ての政策手段と柔軟性を活用していく決意がある。

*内容を追加しました。

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