自民・経済対策提言、ポストコロナ研究で基金10兆円やGoToトラベル延長
ロイター / 2020年11月30日 16時25分
[東京 30日 ロイター] - 自民党は30日、2020年度第3次補正予算や21年度本予算および経済対策に向けた提言をまとめ、菅義偉首相に手渡した。菅政権が掲げる温室効果ガス削減を達成するために各種技術開発を支援する基金やポストコロナ時代に向けた研究者支援のための10兆円規模の基金の創設、観光需要喚起策「GoToトラベル」事業の延長、コロナ禍の就職支援策などを求めている。
<需要不足「相当規模」、コロナは「世界経済に大きな脅威」>
提言は、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた感染防止策およびコロナ禍による被害が著しい年齢層や産業への対策と、ポストコロナ時代を見据えた環境・デジタル技術の促進による産業競争力強化が柱。与党内では7━9月の日本経済のGDPギャップ(需要不足)が34兆円にのぼることが明らかになり、大型対策への要望が増えているが、提言は対策の全体規模については触れておらず、「現時点でGDPギャップは相当規模が残っており、新型コロナは国民の生命・健康にとっても、わが国のみならず世界経済全体の大きな脅威」としている。
感染防止策としては、来年前半までに全国民に提供可能なワクチンを確保するよう求めている。PCR検査や抗原検査について、必要な検査が確実に受けられる体制の確保を目指すとしている。
足元の感染再拡大を受け、意見が分かれているGoToトラベル事業については、観光業者支援の観点から、感染防止策を講じた上での継続・延長を提唱している。
新卒内定者の急減を反映し、新卒者や3年以内の既卒者を支援し、第2の就職氷河期を作らないよう求めている。
中小企業支援策として、劣後ローンの供給継続や、民間金融機関による実質無利子融資制度の延長を求めている。
ポストコロナ対策としては、2050年の温室効果ガスゼロを実現するため、環境対応技術の開発を支援するファンド設立を要望。次世代太陽電池の開発や洋上風力などの主力電源化、原子力の活用、水素発電などを支援する。製造過程で温室効果ガスを大量に発生する鉄鋼や化学、エネルギー業界で温室効果ガスを削減する取り組みも支援する。
また、先端半導体の製造基盤強化、ポスト5Gの通信技術や人工知能(AI)開発も促進する。ポストコロナに向けたイノベーションを推進するため、若手研究者を支援するため10兆円規模のファンドを設立し、運用益を研究基盤の構築に活用することを提言している。
製造業の中国生産への過度の依存を見直すため、感染防止のために必要な製品や海外依存度高い製品の国内回帰、海外拠点の多元化を進めることも提言している。
*基金についての記述を明確にし、再送します。
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