米サード・ポイント、インテルに事業見直し要求
ロイター / 2020年12月30日 9時39分
アクティビスト(物言う株主)として知られる米ヘッジファンドのサード・ポイントが米半導体大手インテルに戦略上の選択肢を模索するよう求めたことが、ロイターが確認した書簡で分かった。写真はインテルのロゴ。テルアビブ近郊で2019年12月撮影(2020年 ロイター/Amir Cohen)
[29日 ロイター] - アクティビスト(物言う株主)として知られる米ヘッジファンドのサード・ポイントが米半導体大手インテルに戦略上の選択肢を模索するよう求めたことが、ロイターが確認した書簡で分かった。半導体の設計と製造の双方を手掛けることが適切かどうかなど見直しを求めている。
インテルはこれまで、外部への生産委託拡大を求める投資家の提案への対応が遅れていたが、サード・ポイントの改革要求で大規模な事業再編が進む可能性がある。また、2015年に167億ドルで取得したアルテラなど買収案件の一部巻き戻しにつながる可能性もある。
サード・ポイントのダニエル・ローブ最高経営責任者(CEO)はインテルのオマー・イシュラック会長に宛てた書簡で、パソコン(PC)およびデータセンター向け半導体の主要プロバイダーとしての同社の地位を強化するため速やかに行動するよう要求した。
関係筋によると、サード・ポイントは10億ドル近いインテル株を保有しているという。
29日の米国株式市場でインテルは約6.1%高と、過去8カ月余りで最大の上昇率を記録した。ナスダック総合が年初来43%上昇する一方、インテルは約21%下落していた。
ローブ氏は書簡で、インテルにとって喫緊の課題は「人的資本管理の問題」だとし、「現状維持で士気を失った」多くの有能な半導体設計者が離職したと指摘。
マイクロプロセッサー生産での優位性を台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子に譲ったほか、主力のPC・データセンター向けでもアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)にシェアを奪われているとした。さらに、人工知能(AI)分野で使用される計算モデルではエヌビディアが支配的な地位にあり、インテルの存在感はほとんどないと批判した。
その上で「インテルが直ちに改革しなければ、米国は最先端の半導体供給へのアクセスが損なわれ、PCからデータセンター、基幹インフラまで全てを作動させるために地政学的に不安定な東アジアに依存せざるを得なくなる」と懸念を示した。
インテルは「株主価値の拡大に関する全ての投資家からの意見を歓迎する。その目標に向けたサード・ポイントの案について話し合うことを楽しみにしている」とする短い声明を発表した。
ローブ氏はインテルに対し、戦略見直しに向けて投資顧問を起用するよう提言。具体的には、設計から製造まで統合的に手掛ける事業モデルを維持すべきかや、過去の買収で失敗した案件について売却の可能性などを検討するよう求めている。関係筋によると、サード・ポイントとしては、半導体設計を製造部門から切り離すことを検討すべきとの考えで、これには製造分野での合弁も含まれるという。
ローブ氏は書簡で、アップルやマイクロソフト、アマゾン・ドット・コムといったインテルの顧客が半導体を自社で開発し、東アジアに製造を委託していることに言及。インテルはこれらの顧客を維持するために新たなソリューションを提供する必要があるとした。
ローブ氏はさらに、「懸念に対応するための協力を渋る」姿勢がインテル側に感じられた場合、同社の次期株主総会で取締役候補を立てる選択肢をサード・ポイントは留保すると伝えた。
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