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情報BOX:アーケゴス問題、背後に緩い「ファミリーオフィス」規制

ロイター / 2021年3月30日 19時14分

 3月29日、米投資会社がマージンコール(委託証拠金の追加差し入れ要求)に応じられずデフォルト(債務不履行)を起こしたことで、国際業務を展開する一部の銀行が何十億ドルもの損失を出す可能性に直面している。写真は同日、アーケゴスが入居しているとされるニューヨークのビルで撮影(2021年 ロイター/Carlo Allegri)

Michelle Price Lawrence Delevingne

[ワシントン 29日 ロイター] - 米投資会社がマージンコール(委託証拠金の追加差し入れ要求)に応じられずデフォルト(債務不履行)を起こしたことで、国際業務を展開する一部の銀行が何十億ドルもの損失を出す可能性に直面している。複数の関係筋によると、この投資会社はアーケゴス・キャピタル・マネジメント。投資家は、他にも損失を被る金融機関がないかと懸念している。

アーケゴスは数十億ドル規模の資産を運用しているとされるにもかかわらず、規制当局から直接の監視をほとんど受けていなかった。ニューヨークのヘッジファンド元幹部、ビル・フアン氏のファミリーオフィスとして運営されているからだ。

◎ファミリーオフィスとは

ファミリーオフィスは裕福な家族が、資産を管理運用するために設立する。税金や遺産相続計画関連などのサービスを家族の構成員に提供したり、慈善事業を運営したりもする。

コンサルティング会社のEYは2021年の報告書で、そうした家族のプライベートな保有資産は、今やプライベート・エクイティとベンチャー・キャピタルの合計額を上回ると推計した。報告書によると、単一の家族のみにサービスを提供する「シングル・ファミリー・オフィス」は全世界に1万社以上ある。

市場調査会社のカムデン・リサーチによると、2019年時点で世界のファミリーオフィスが運用する資産は総額約6兆ドル。

◎規制は受けているか

シングル・ファミリー・オフィスは、一般に規制を受けていない。米証券取引委員会(SEC)によると、1940年にできた投資顧問法は15人以下の顧客に助言する会社を規制から除外した。このため、ファミリーオフィスのほとんどは、SECに登録する義務がなかったという歴史的経緯がある。

2007―09年の金融危機を受けて10年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)でこの除外規定が無効化され、顧客数15人以下のヘッジファンドなどプライベートファンドのアドバイザーもSEC登録が必要になった。しかし、同改革法は引き続き適用が除外されるファミリーオフィスも定義した。

その結果、SECによると、証券に関する投資助言を家族の構成員に提供する会社で、家族の構成員または家族の事業体が100%所有、排他的に支配権を持つ会社は、投資顧問法の適用から今も除外されている。

◎ヘッジファンドとの比較

現行の規則を批判する人々は、ヘッジファンドへの規制は軽過ぎると主張している。ただ、ヘッジファンドはファミリーオフィスと異なり、投資顧問法に基づく要件をいくつか順守する必要がある。

ヘッジファンドは、個人富裕層や年金、寄付・寄贈金などの機関投資家の資金を運用し、SECに登録して四半期ごとに「13F」というフォームで保有株式の状況を報告しなければならない。また、自分たち自身の所有者構成や運用資産、銀行との関係、その他の基本的な運営情報も開示する必要がある。

資産規模が1億5000万ドル以上の場合、プライベートファンドはSECへの登録義務に加えて、資産の種類と規模に関する情報を「PF」というフォームでSECに報告する義務がある。これはずっと詳細なデータで、非公開扱い。システミックリスクを監視するため金融安定監督評議会(FSOC)と共有される。

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