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アングル:メキシコ大統領最有力のシェインバウム氏、苦心する現職との距離

ロイター / 2024年5月30日 14時21分

 5月27日、新型コロナがまん延していた当時、メキシコ市長だったクラウディア・シェインバウム氏(写真)は、常にマスクを着用し、他の人々にも着用を強く勧めていた。メキシコシティで19日撮影(2024年 ロイター/Quetzalli Nicte-Ha)

Ana Isabel Martinez

[メキシコ市 27日 ロイター] - 新型コロナがまん延していた当時、メキシコ市長だったクラウディア・シェインバウム氏は、常にマスクを着用し、他の人々にも着用を強く勧めていた。

対照的に、同氏の政治的「守護者」であるロペスオブラドール大統領は、着用を義務付けない政府指針に則り、自身が感染した後でさえマスクの着用を拒否し続けた。メキシコの新型コロナ感染死者は、世界で5番目の数に上った。

6月2日の大統領選で勝利が有力視されているシェインバウム氏と現職大統領とのこの差は、次期政権において緊張の種となり、小さな造反につながると一部で見られている。ロペスオブラドール氏は法律の規定により再選を目指す立候補ができなかった。

シェインバウム氏はこうした説を否定し、2人は国を変革する同じ「プロジェクト」の一部だと述べている。しかし、同氏に近い人々はマスクの逸話を挙げ、元科学者の同氏がロペスオブラドール氏の「操り人形」になるという野党側の主張を否定する。

そうした人々によると、彼女は環境、エネルギー、安全保障、汚職などの主要課題について現政権と異なる路線を進む一方、ロペスオブラドール氏が掲げる原則的に国家主導の経済観と、主要な福祉プログラムを維持する見通しだ。

シェインバウム氏陣営のあるメンバーは「2人は協力関係にあり、主従関係ではない」と指摘。「操り人形になるとの言い分は非常に不当だ。メキシコ市長在任の5年間に、彼女は大統領とまったく違う事を行ったのだから」と述べ、具体例として電動バスへの投資や太陽光パネルの設置を挙げた。

シェインバウム氏は、ロペスオブラドール氏への批判を慎重に避けながら選挙戦を闘ってきた。

具体的な政策プランを示していないことも、シェインバウム氏の選挙戦に有利に働いている。中間層とビジネス界は彼女に、より穏健で現実的な指導者像を投影する傾向がある。

シェインバウム氏がロペスオブラドール氏の路線からどの程度外れるかが、今回の選挙を巡る投資家の注目ポイントの一つだ。ロペスオブラドール氏は、発電など経済の主要分野から民間企業をおおむね締め出してきた。

<バランス>

アナリストによると、シェインバウム氏は自身の政策目標と、与党・国家再生運動(MORENA)内で大きな影響力を持つロペスオブラドール氏の遺産を維持することとの間で、微妙なバランスを取る必要が出てくるだろう。

元議員で、最近は左派の民主革命党(PRD)の党首を務めたアグスティン・バサベ氏は「彼女が勝利すれば、ロペスオブラドール氏に対する純粋な忠誠心と、同氏ほどの力を持たないために政治的資本を欠くという現実との間で、内心格闘することになるだろう」と語る。

バサベ氏は、ロペスオブラドール氏は表立ってではなく舞台裏で影響力を行使すると予想。「彼女の政権は最初の数年間、制約を受けるだろう」と話した。

シェインバウム氏は、ラミレス財務・公債相を含む現政権の高官数人の留任を示唆しており、ロペスオブラドール氏の影響力は残りそうだ。

シェインバウム氏陣営に近い2人の情報筋によれば、現政権のエブラルド前外相とロドリゲス治安・市民保護相は要職に就き続ける可能性が高い。アナリストは、アルカルデ内相とブエンロストロ経済相も引き続き重要な役割を果たすと予想している。

ロペスオブラドール氏は今年2月、任期中に可決されないのを承知の上で野心的な改憲案を提示した。これはシェインバウム政権に期待する青写真を示したのだとアナリストはみている。

一方、シェインバウム氏は、ロペスオブラドール氏から指示を受けるための「ホットライン」が設けられるとの憶測を否定。「政権を担っていくのは私だ」と明言した。

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