中国レアアース生産枠、今年は引き上げペース鈍化へ 供給過剰で

業界関係者によると、中国の今年のレアアース（希土類）生産枠は供給過剰を背景に引き上げペースが昨年を大幅に下回る見通し。２０１０年１０月、江蘇省連雲港市で撮影（２０２４年　ロイター）

[蘇州（中国）　２９日 ロイター] - 業界関係者によると、中国の今年のレアアース（希土類）生産枠は供給過剰を背景に引き上げペースが昨年を大幅に下回る見通し。

同国は通常、レアアースの採掘枠と製錬・分離枠を年２回発表するが、昨年は３回に分けて発表した。

中国レアアース業界協会の陳占恒副秘書長は２９日、業界の会合で今年の採掘枠を前年比約６％増の２７万トンと推定。昨年は前年比２１．４％増の２５万５０００トンだった。

コンサルティング会社、上海金属市場のアナリスト、Yang Jiawen氏は今年の採掘枠を前年比９．８％増の２８万トンと予想した。

陳氏は、今年のレアアース製錬・分離枠を前年比４．２％増の２５万４０００トンと予想。昨年は前年比２０．７％増だった。

中国政府は２月、今年の第１弾の採掘枠を前年同期比１２．５％増の１３万５０００トンに設定したと発表。昨年の第１弾は前年同期比１９％増だった。

ある業界関係者は「今年第２弾の生産枠が鍵を握る。政府にとって難しい決断になるだろう。今年は需要が予想を下回っており、供給過剰がまだ解消されていない」と指摘。

「今年の総生産枠が昨年と同じペースで引き上げられれば、価格に一段の下落圧力がかかる」と述べた。

中国の１─４月のレアアース輸出は前年同期比１０％増の１万８０４９．５トンだった。