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アングル:中国地方政府の起債低調、無駄な投資抑制で成長目標達成に暗雲

ロイター / 2024年8月30日 9時26分

中国の地方政府による債券発行が計画に比べて遅いペースとなっている。無駄なインフラ投資に対する監視が強まっているためだが、中国全体の経済成長が伸び悩む要因ともなりかねない。写真は天津港で2019年5月撮影(2024年 ロイター/Jason Lee)

Ellen Zhang Marius Zaharia

[北京/香港 29日 ロイター] - 中国の地方政府による債券発行が計画に比べて遅いペースとなっている。無駄なインフラ投資に対する監視が強まっているためだが、中国全体の経済成長が伸び悩む要因ともなりかねない。

地方レベルの投資は中国経済を安定的に成長させる最も効率的な手段の一つとして長年その役割を果たしてきた。しかし、このような投資が全て生産的であったわけではない。過去10年間で交通量が少なく維持費がかかる鉄道、道路、橋に多額を費やした結果、成長率を上回るペースで債務が増加していることが何よりの証拠だ。

無駄な支出を抑制するため、当局は最も重い債務負担を抱える12省を中心に投資プロジェクトへの監視を強化した。その結果、今年1─7月に地方政府が発行した特別債は3兆9000億元(5460億ドル)の枠に対して45.5%にとどまっている。これは2023年同時期の65.7%、22年の95%と比べて低い水準だ。

中国政府は今年の経済成長率目標を5%前後としているが、家計消費の低迷と深刻な不動産苦境に脅かされる中、地方の財政出動が予定通り進まなければ目標達成に暗雲が漂う。

ムーディーズ・レーティングスのシニアアナリスト、ジャック・ユアン氏は「短期的に採算の合うプロジェクトを見つけるのは難しい。国主導の投資がなければ多くの地方は成長目標を達成することが難しくなるだろう」と語る。

同氏を含め多くのアナリストは、当局が7月の主要会議で表明したように成長目標達成を優先するため、今後数カ月で債券発行は加速すると予想。しかし、そのためには中央政府が地方に対して、資金の新しい使い道を認める必要がありそうだ。

新しい分野としては、低所得者向けの住宅に転換するための在庫買い取り、未開発の住宅用地の買い戻しなどが考えられるという。こうした取り組みは危機に見舞われる不動産業界支援にもなる。

マッコーリーの中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は「債券発行が加速し、経済への財政支援が増えれば、成長目標を達成できるかもしれない」と述べた。

ムーディーズのユアン氏によると、地方債を地方政府の資金調達機関が発行する高利回り債券とスワップすることで資金繰り負担を軽減し、同機関のデレバレッジ(債務圧縮)で実体経済への影響を抑えることも可能だ。

<「あらゆるプロジェクトはコスト」>

1─7月のインフラ投資は前年同期比4.9%増と、伸び率は23年同期の6.8%から鈍化した。

高水準の債務を抱える甘粛省の省都・蘭州のある政府関係者は、地方が支出を減らしている分野の一つは都市景観整備だと指摘した。特別債を活用した緑地整備は一時的な雇用を生み出すものの、長期的な生活水準の向上にはつながらず、何の収益も生まない。このような支出は今年から行われなくなったという。

北京市政府の関係者は「以前の資金申請は簡単だった。(しかし今は)なぜそのプロジェクトをやらなければならないのかを打ち出す必要がある。あらゆるプロジェクトはコストと言われる」と明かす。

ある政策アドバイザーは匿名を条件に、成長を促進するために政府投資に傾倒した結果、債務と腐敗を招いたと説明。地方政府は債務の利息を返済できるだけの収益を生み出すプロジェクトを見つける必要があるとする。

「しかし、そのようなプロジェクトが毎年あるわけではない。低所得層にお金を配り、消費を活性化させた方がいい」。

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