米バークシャー、日本の5大商社株約5%取得 市場に驚きの声
ロイター / 2020年8月31日 17時20分
8月30日、著名投資家ウォーレン・バフェット氏(写真)が率いる米バークシャー・ハザウェイは、日本の5大商社の株式をそれぞれ5%超取得したと発表した。写真は2015年10月、米首都ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)
[東京 31日 ロイター] - 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイ
バークシャー傘下のナショナル・インデムニティが31日に財務省関東財務局に提出した大量保有報告書によると、伊藤忠商事<8001.T>株式の5.02%、丸紅<8002.T>5.06%、三菱商事<8058.T>5.04%、三井物産<8031.T>5.03%、住友商事<8053.T>を5.04%、それぞれ取得した。
バークシャーの発表文によると、約1年間かけて取得したという。長期保有を意図しているとした上で、保有率を最大9.9%に引き上げる可能性があるとした。
30日に90歳の誕生日を迎えたバフェット氏は「日本の未来にバークシャー・ハザウェイとして参加することは喜ばしい」と表明。「5大商社は世界各地に合弁事業が多数あり、今後さらに増やす公算が大きい。将来的に相互に有益な機会があることを望む」とした。
三井物産の広報担当者は、バークシャーが長期保有を目的に同社株を取得したことは承知しているとした上で、「当社は常に、すべての株主のリターン改善を目指している」と述べたが、それ以上のコメントは控えた。
丸紅の広報担当者は、特定の投資家の株式保有についてはコメントしないと述べる一方、「企業価値を高めるための経営努力を続ける」との方針を示した。
今回の投資によってバークシャーは米経済への依存度を低下させることになる。米国の第2・四半期の国内総生産(GDP)は、1947年の統計開始以来、最も大きな落ち込みとなった。
バークシャー傘下の事業会社の多くは苦戦しており、今月発表した第2・四半期決算では、航空機部品メーカー、プレシジョン・キャストパーツに関連した評価損98億ドルを計上。傘下事業は鉄道や自動車保険など90以上に上る。
このほか、投資目的で米アップル
傘下事業の大半は米国にあるが、イスラエルのIMCインターナショナル・メタルワーキングや独オートバイアクセサリー小売りのデトレフ・ルイスなど少数の外国企業も買収している。
マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏は、バークシャーのポートフォリオにアップル偏重の感が出ており、バフェット氏はアップルと真逆な投資先を探していたとの見方を示した。
<なぜ日本の商社に>
今回のバフェット氏の日本企業という選択に市場からは驚きの声が上がっている。特に商社は長らく投資家の選択肢から外れている。手掛ける事業は、食品からエネルギー・資源、ロケットまでと幅広い。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ投資ストラテジスト、藤戸則弘氏は、バリュエーションの低さが魅力だったかもしれないと述べる一方、数社選ぶのではなく5社すべてに投資するのはバフェット氏らしくないと指摘した。
バフェット氏が投資したと発表されると、その株は上昇することが多い。31日の東京株式市場で丸紅と住友商事は9%超上昇、三菱商事と三井物産は7%超上昇し、伊藤忠は4.2%上昇し上場来高値を更新した。
とは言っても年初来で上昇しているのは5社中、伊藤忠だけ。丸紅、三菱商事、住友商事は10%程度下落し、TOPIX<.TOPX>(6%)よりきつい下げになっている。
株価が簿価を上回っているのも伊藤忠のみ。その点でバフェット氏のようなバリュー投資家のお眼鏡にかなったともいえる。
数社は潤沢な手元資金を持つ。リフィニティブのデータによると、三菱商事は1株当たりのフリーキャッシュフローが4年間増え続けている。
商社は鉄鋼、海運、コモディティー(商品)などの分野を通じて実体経済に深く関与している。理解できない事業には投資しない主義のバフェット氏にとって、商社はわかりやすい投資先に映ったとみられる。
*内容を追加しました。
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