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アングル:北朝鮮、ミサイル発射「常態化」で国際社会に追認迫る

ロイター / 2022年2月1日 7時29分

 1月31日、北朝鮮は今月、異例の頻度でミサイル発射を行っている。写真は14日、KCNA提供(2022年 ロイター/KCNA)

[ソウル 31日 ロイター] - 北朝鮮は今月、異例の頻度でミサイル発射を行っている。アナリストは、新型コロナウイルスのパンデミックや、ウクライナ情勢の緊迫化に米政府がかかりきりになっていることが、先進ミサイル技術の試験や核兵器開発を進める好機をもたらしており、禁止されている兵器開発を国際社会に渋々でも認めさせるのが狙いとみている。

元北朝鮮担当米国家情報分析官で現在はシンクタンク、アトランティック・カウンシルのシニアフェローのマーカス・ガーラウスカス氏は「現在、世界が他の問題に気を取られていることが、北朝鮮に恩恵となっている」と述べた。

北朝鮮は30日、中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」の発射実験を実施した。ミサイル発射は今月7回目。IRBMの発射は2017年以来となる。

バイデン米政権は、北朝鮮と前提条件なしで協議する用意があるとしている。しかし、北朝鮮はそうした米国のメッセージをはねつけており、米政権は膠着状態を打開できていない。

アナリストは、北朝鮮は明らかに米国をはじめ他国に発信し続けているが、それは関心をひくことが主目標ではないと指摘する。

ガーラウスカス氏は、北朝鮮が関心をひこうとしているという見方は、今の北朝鮮に関して最も根強い誤解の一つと指摘。

「北朝鮮は『甘やかされた子ども』ではなく、一連のミサイル発射はプロパガンダ戦略ではない」とし「兵器プログラムは現実の問題で、かれらは広く考えられているよりはるかに速く開発を進めている」と述べた。

<兵器実験の常態化>

元米中央情報局(CIA)のオープンソース分析官で、現在はワシントンのシンクタンク、スティムソン・センターに在籍するレイチェル・ミンヨン・リー氏も、度重なる発射は米国の関心をひくことも狙いだが、主な目的ではないとみる。

今月の7回の発射実験で、金正恩朝鮮労働党総書記が視察したのは1回だけ。国営メディアの報道は、技術面の進歩に重点を置き、17年と比べて政治的メッセージは少ない。17年の火星12の発射は、朝鮮労働党の機関紙、労働新聞で一面扱いだったが、30日の発射はそうでなかった。

リー氏によると、北朝鮮は引き続き経済に重点を置きつつ、防衛開発計画を進め、兵器実験を「常態化」して重大事にするのを避け、メディアのトーンを調節したいと考えているようだ。

「北朝鮮は他の国のように兵器を開発し実験する権利を有すると繰り返し強調してきた。そして、兵器実験が他国のそれとは異なると受け止められないようにするためには、他国と同様、平時の出来事として取り扱う必要があると認識したようだ」と述べた。

ミサイル発射実験は、経済が疲弊する中で政府の力を示し、正恩氏の亡き父、金正日氏の80回目の誕生日にあたる2月16日、祖父の金日成氏の110回目の誕生日にあたる4月15日に向け国威発揚にもなるとみられる。

ワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターのDuyeon Kim氏は、北朝鮮が今後もコロナ禍を理由に米国との直接協議を拒否し続け、協議実現の対価を高くするとの見方を示した。

(Josh Smith記者)

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