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日銀、YCCの運用さらに柔軟化 1%を目途に機動的にオペ対応

ロイター / 2023年10月31日 13時36分

 日銀は30―31日に開いた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用を再び柔軟化することを賛成多数で決めた。写真は日銀本店外観。2009年3月撮影(2023年 ロイター/Yuriko Nakao)

Takahiko Wada

[東京 31日 ロイター] - 日銀は30―31日に開いた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用を再び柔軟化することを賛成多数で決めた。10年金利について、1.0%を上限の「目途」とした上で、連続指し値オペを通じた厳格な金利コントロールから「大規模な国債買い入れと機動的なオペ運営で金利操作を行う」方式に転換し、1%を超える金利上昇を事実上容認する。

日銀は今後の情勢変化に応じ、市場で円滑な長期金利形成が行われるようにYCCの柔軟性を高めておくことが適当だと判断した。

長短金利の目標は全員一致で据え置いた。短期金利は引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行うとした。

日銀はこれまで長期金利の変動幅の目途を「上下0.5%程度」としてきたが、この文言は声明文から削除された。

連続指し値オペについては、原則毎営業日1.0%で実施して長期金利を厳格に抑えることは、強力な効果を発揮する半面で「副作用も大きくなり得る」とした。今後、指し値オペの利回りは、金利の実勢等を踏まえ、適宜決定することになる。

日銀は金融市場調節方針と整合的なイールドカーブ形成を促すため、大規模な国債買い入れを続けるとともに、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペ、共通担保オペを実施する。

運用柔軟化は賛成8対反対1で決定した。中村豊明審議委員は、YCCの運用をさらに柔軟化することには賛成だが、法人企業統計などで「企業の稼ぐ力が高まったことを確認した上で行う方が望ましい」として反対票を投じた。

日銀は7月の決定会合で、連続指し値オペの実施金利を1%に引き上げることを決めてYCCの運用を柔軟化。当初は「念のための上限キャップ」(植田和男総裁)としていたが、米10年金利の急ピッチな上昇で日本の10年金利にも上昇圧力がかかり、1%到達が迫っていた。

<フォワードガイダンスは維持>

日銀は決定会合で「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論し、物価見通しを前回7月対比軒並み引き上げた。ただ、物価見通し上振れの主因は、これまでの原油価格の上昇を起点とする価格転嫁の長期化やこのところの原油価格の上昇だと指摘。消費者物価の基調的な上昇率は「見通し期間終盤にかけて2%目標に向けて徐々に高まっていくとみているが、その際には賃金と物価の好循環が強まっていく必要がある」とした。

金融政策のフォワードガイダンス(先行き指針)は文言を変更しなかった。経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金上昇を伴う形で2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指すとした。

物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を続ける。引き続き企業などの資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに「必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」と改めて明記した。

(和田崇彦)

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