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日銀決定受け株高・円安進行、2%目標接近か見極めへ

ロイター / 2023年10月31日 14時59分

10月31日、日銀の金融政策決定会合を通過し、市場では過度な警戒感が和らいで株高と円安で反応した。写真は都内の株価ボード。2015年12月撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)

Noriyuki Hirata

[東京 31日 ロイター] - 日銀の金融政策決定会合を通過し、市場では過度な警戒感が和らいで株高と円安で反応した。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用柔軟化を進めたほか、展望リポートでは物価見通しを引き上げた。今後の金融引き締めが視野に入ってきた一方、緩和継続も意識されており、市場は日銀の掲げる物価「2%」目標への距離を探ろうとしている。

日銀は30―31日に開いた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用を再び柔軟化することを賛成多数で決めた。決定内容が伝わると、前場終値がマイナスだった日経平均は後場に買いで反応し、ドル/円は149円半ばから150円前半に上昇した。

10年金利について、1.0%を上限の「目途」とした上で、連続指し値オペを通じた厳格な金利コントロールから「大規模な国債買い入れと機動的なオペ運営で金利操作を行う」方式に転換し、1%を超える金利上昇を事実上容認する。

日本経済新聞電子版が昨晩に観測記事を報じ、市場では「概ね事前報道の内容」(国内証券の株アナリスト)との受け止めが聞かれた。過度な警戒感が和らぎ、株価と為替は、それまでの持ち高調整の逆回転が生じた。

<引き締め視野と緩和継続> 

株式市場では「金融緩和自体は継続しており、一気に引き締め加速というわけではない」(野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジスト)との受け止めが出ている。足元では3月決算企業の中間決算シーズンに入っており「企業決算はしっかりしているし、バリュエーション的にも魅力的な水準となっており、目先は自律反発しやすい」(石黒氏)という。

一方、為替市場では「運用柔軟化で今後の金融引き締めが視野に入ってきたことから、ドルは上にも抜けずらい状況」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)との見方が聞かれる。

展望リポートでは24年度の消費者物価指数見通し(除く生鮮食品)を2.8%に引き上げたが、コアコア(除く生鮮食品・エネルギー)は1.9%だったほか、25年度についても2%を超えなかった。「日銀はインフレに関して慎重にみており、円買い材料にはならなかった。結果的にドルはもみ合いでの推移となっている」(諸我氏)という。

朝方に事前報道を織り込んで長期金利が上昇していた円債市場は、いったん下げ幅を縮小したが、再び売り圧力が強まった。展望レポートで24年度の物価見通しが強い数字となったことを「ややタカ派的と捉えた可能性がある」と、ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは指摘する。

日銀が目指す物価目標の持続的・安定的な達成に近づいていることを意味しているのか、25年度は2%未達で賃上げに伴う好循環で2%というビジョンから距離があることを意味しているのか「見極めていく必要がありそうだ」と、上野氏は話している。

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