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アングル:メローニ伊首相、欧州の実力者に 「極右」鳴り潜める

ロイター / 2024年5月31日 16時18分

 イタリアのメローニ首相(写真右)は来月の欧州議会選挙後に、中道右派のフォンデアライエン欧州委員長(左)の2期目続投を支持すれば、同氏の影響力は増すかもしれない。昨年1月、ローマで撮影(2024年 ロイター/Guglielmo Mangiapane)

Crispian Balmer Angelo Amante

[ローマ 29日 ロイター] - 2022年、イタリアでメローニ首相が政権を握ると、欧州各地の極右政党はこれを歓迎し、新しい熱血指導者が民族主義を推し進めて欧州連合(EU)の官僚主義と闘ってくれると期待した。

ところがメローニ氏はEUのエリートらと衝突するどころか、緊密に協力することで敵味方双方を驚かせ、主流の中道右派と、自身が属する強固な保守陣営との橋渡し役を果たしてみせた。

来月の欧州議会選挙後に、メローニ氏自身がほのめかした通り中道右派のフォンデアライエン欧州委員長の2期目続投を支持すれば、同氏の影響力は増すかもしれない。

そうなれば同氏はEU新執行部で影響力を高め、イタリアに次期欧州委員会の重要ポストをもたらし、権力を操る「陰の実力者」ぶりを発揮することにもなりそうだ。

同氏が率いる政党「イタリアの同胞」選出の欧州議会議員、カルロ・フィダンツァ氏は「メローニ氏は欧州の右派および中道右派のさまざまな派閥の橋渡し役として最適の人物であり、尊敬され、リーダーとして認められている」と語った。

同氏が率いるイタリア連立与党が多様な右派勢力を束ねているのは確かだ。だが、メローニ氏が次の欧州議会でそれを再現するのは不可能に思われる。

フォンデアライエン委員長とその仲間は既に、メローニ氏の盟友であるイタリアの極右政党「同盟」党首のサルビーニ氏や、フランスのルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)など、より過激な勢力とは協力しない姿勢を表明。これらの政党も委員長に反発している。

一方でフォンデアライエン委員長は、メローニ氏については何の懸念も表明していない。

委員長は23日、「ジョルジア・メローニ氏とは非常にうまく協力している」と述べ、同氏は「明らかに親欧州派」だと付け加えた。

<即座に実績>

メローニ氏は22年に首相に就任すると、初めての外遊先としてブリュッセルのEU本部を訪問し、好印象を残した。

その後数カ月間は欧州委と協力し、EUが10年近く果たせなかった移民・難民規定改革への合意取り付けに貢献した。

また、フォンデアライエン氏と共に北アフリカを3回訪れ、エジプトとチュニジアとの間で、移民の出国を食い止める条項を含む協定に署名した。

重要なのは、メローニ氏がウクライナへの支援とロシアへの断固とした批判を一貫して表明していることだ。これは、長らくロシアのプーチン大統領と緊密な関係を築いてきたルペン氏やサルビーニ氏と一線を画している。

英サリー大学の政治学教授、ダニエレ・アルベルタッツィ氏は「メローニ氏は賢い。彼女はつまり、こう言っている。『国際舞台で主流派になり、責任を果たそう。なぜなら自分にはこの人たちが必要だからだ』」と語った。

あるEU指導者はオフレコにするよう念を押した上で「メローニ氏は依然として『過激な右翼』だが、イタリアは多額の負債を抱えており、財政的に援護してもらっている国々を敵に回すわけにはいかないため、親欧州的な態度を取っている」と語った。

動機が何であれ、メローニ氏は最近のEU首脳会議で自らがかけがえのない存在であることを証明した。民族主義者であるハンガリーのオルバン首相を説得し、ウクライナへの資金援助と、EUの新移民・難民協定を支持させたからだ。

あるEU関係者は、欧州委がオルバン氏との意思疎通の大部分をメローニ氏を通じて行っているため、同氏には「オルバンのささやき声」というニックネームが付いたと明かした。

<続く分裂>

欧州の極右政党や民族主義政党は、欧州議会内で2会派に分かれている。

メローニ氏は、ポーランドの「法と正義(PiS)」を含む「欧州保守改革(ECR)」会派の代表。サルビーニ、ルペン両氏は「アイデンティティーと民主主義(ID)」会派で、オルバン氏の「フィデス・ハンガリー市民連盟」は今のところどの会派にも属していない。

フォンデアライエン氏は欧州最大会派である中道右派、欧州人民党(EPP)出身だ。

メローニ氏といえども、ECR全体の足並みをそろえさせるのは難しいとみられる。例えばPiSの議員らは、国内で敵対するトゥスク首相がEPPの有力人物であるため、ほぼ確実にフォンデアライエン氏の続投に反対するだろう。

メローニ氏はまた、ECRとIDの統合を否定。ECRが欧州議会選で議席を伸ばし、EUにおける自身の影響力が高まることを期待している。

シンクタンク、欧州外交評議会(ローマ)のアルトゥーロ・バルベッリ理事は「会派の勢力が強まれば、メローニ氏はIDとEPPの中央に立てる。私が見るところ、それが彼女の目標だ」と語った。

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