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米レーガン空港、ヘリとのニアミス事案頻発 80年代から警鐘

ロイター / 2025年1月31日 13時56分

 米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港近くで29日にアメリカン航空子会社のリージョナルジェット旅客機CRJ700が米陸軍のヘリコプター「ブラックホーク」と衝突し、空港付近のポトマック川に墜落して計67人が死亡した事故は、同空港への着陸時に冷や汗をかいたという他のパイロットらの記憶を呼び起こした。同空港で30日撮影(2025年 ロイター/Eduardo Munoz)

Allison Lampert

[30日 ロイター] - 米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港近くで29日にアメリカン航空子会社のリージョナルジェット旅客機CRJ700が米陸軍のヘリコプター「ブラックホーク」と衝突し、空港付近のポトマック川に墜落して計67人が死亡した事故は、同空港への着陸時に冷や汗をかいたという他のパイロットらの記憶を呼び起こした。

米民間航空機のパイロット、リック・レッドファーン氏は約10年前、レーガン空港への着陸の準備をしていた時にポトマック川の上空約15メートルでホバリングしている真っ赤な米沿岸警備隊のヘリコプターを発見した。

管制官はすぐにヘリコプターのパイロットに近づかないように警告し、レッドファーン氏はヘリコプターを避けて、衝突を回避したという。これは今回の事故時よりも視界が良い日中に起きたことだった。

レッドファーン氏は、夜間には「光によって自分が見ているものが、実際には何なのかが分からなくなることがある」と話す。

レーガン空港に着陸する航空機は、近くのホワイトハウスと国防総省(ペンタゴン)の周辺の制限空域を避けるために狭い飛行経路を正確に飛ばければならない。

レッドファーン氏は、アメリカン機が向かっていた滑走路33を指して「川沿いの東側から滑走路33に入る曲がり角はとてもきつい」と指摘した。

事故原因は不明で、米国家運輸安全委員会(NTSB)と米陸軍が調査を進めている。

<ニアミス>

ロイターがレーガン空港でのヘリコプターが関わるヒヤリ・ハット事案を調査したところ、1980年代からパイロットらが警鐘を鳴らしていたことが明らかになった。

民間航空会社のパイロットを長年務めたキャスリーン・バングス氏は「レーガン空港を発着するときは、間違いなく最善を尽くしている」と語る。

航空安全報告システムのデータベースによると、パイロットが匿名で登録した46件のヒヤリ・ハット事案のうち26件がニアミスや無謀な接近だった。

1989年9月の事案の報告で、あるパイロットは軍用ヘリコプターと民間航空機は無線周波数が異なり、互いの声を聞くことができず、事故防止のために「非常に忙しい」管制官に依存していると問題視した。

このパイロットは、ヘリコプターとのニアミスが起きたのは4年半でそれが7回目だったと訴えていた。

航空安全と事故調査の専門家のアンソニー・ブリックハウス氏は「レーガン空港からは毎日、民間機や軍用機などあらゆる種類の航空便が運航されている」と言及。

事故の直前、管制官は米陸軍のヘリコプターにアメリカン機の後方を通過するように指示したのが録音されており、ブリックハウス氏は「ヘリコプターのパイロットと民間機のパイロットが何を見たのか、そして2機の交信を調査することになるだろう」との見方を示す。

民間機は無線のVHF帯の周波数を使う一方、軍用機はUHF帯を使用する。このため民間機と軍用機が直接交信できないものの、管制塔は両方の周波数で交信できる。

航空団体の航空機所有者・パイロット協会(AOPA)は「民間機と軍用ヘリコプターの運航を分離するために確立された手順がある」と主張するが、今回の事故を受けて変更されるかもしれないと語った。

陸軍長官候補のダニエル・ドリスコル氏は30日の議会上院の公聴会で「今回の事故は防ぐことが可能だったようだ」と発言。訓練を実施すべき場所は「レーガンのような空港の近くではないのかもしれない」とし、ワシントンの往来が激しい空域の近くでの訓練を再考するよう促すきっかけになるかもしれないと述べた。

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