バスケ人気引っ張る河村勇輝、五輪イヤーの決意は「試合を支配できるプレー」 身長172センチ日本の若き司令塔が掲げる「挑戦」
47NEWS / 2024年1月6日 11時0分
バスケットボール男子日本代表は昨年、沖縄が会場となったワールドカップで3勝を挙げ、48年ぶりとなる自力での五輪出場を決めた。中心選手として大活躍したのが22歳の河村勇輝(横浜BC)。空前のバスケ人気を引っ張る若き司令塔に、「挑戦」と位置づけるパリ五輪イヤーの抱負を聞いた。(共同通信=木村督士、桑原雅俊)
ワールドカップ1次リーグ・フィンランド戦でシュートを決める河村=2023年8月27日、沖縄アリーナ
―ワールドカップで得たものは。
「初めての世界大会で、自分の一番の強みであるスピード、敏しょう性が通用するのか、楽しみでもあったし、不安でもあった。スピードという武器は全然通用した。修正点や、これからやっていかなければならないことが見えた大会でもあった。キャリアにおいても、すごく大事な分岐点になるんじゃないかな」
―大会前に「世界で戦える選手になりたい」と繰り返し話していた。
「自信を得て、これから何が必要なのかが分かった大会にはなったかなと思う」
―1次リーグ第2戦ではフィンランドに逆転勝利を収め、ワールドカップで欧州勢から初白星。自身は25得点、9アシストの活躍だった。NBAのユタ・ジャズに所属するスター選手のラウリ・マルッカネンにマークに付かれながら3点シュートも決めた。
「フィンランド戦が、その後の3試合ですごく自信を持ってプレーできるきっかけになった。マルッカネン選手に付かれた状況での得点もそうだけど、世界の中でも強いと言われている相手に勝てたことで、より自信がついた」
ワールドカップ順位決定リーグ・カボベルデ戦でシュートを決める河村(左)=2023年9月2日、沖縄アリーナ
―今、取り組んでいることは。
「本当にきりがない。自分の武器であるスピードをもっと生かすために必要なことに取り組んでいる。緩急もそうだし、シュートの精度もそう。スピードを生かしたドライブをさらに強く見せるため、そこを最大限生かすためには、いろんなことが必要」
―今季のBリーグでは得点を量産している。
「もちろんパリ五輪に向けて、シュートのバリエーションや精度は伸ばしていかないといけないが、チームから求められていること以上にエゴを出して、うまくなりたいということではない。効率よく点を取り、勝利に直結するようなプレーをしたい」
―普段から相手に当たり負けしないことを意識している。将来、海外リーグへの挑戦を視野に入れていることも理由か。
「そういった気持ちもあるし、今はBリーグの選手もかなりハードにディフェンスしてきている。特に外国籍の選手や(日本)国籍取得選手が増えてきて、大きな選手が僕にマッチアップしてくる状況がある。必然的に(相手に体を当てて)そういった形でシュートを打たなければ、うまくスペースをつくることができない。Bリーグの中で、世界レベルのサイズ感の選手たちとマッチアップできるのは本当にいい経験」
インタビューに答えるバスケットボール男子日本代表の河村勇輝=2023年11月、横浜市
―身長172センチで大きな選手に立ち向かう怖さは。
「あんまり僕は感じてない。いろんな局面がある中で、高さだけではなく、強さであったり、タイミングであったりも含めてバスケットというもの。いろんなことを考えて駆使しながら、うまくプレーできれば」
―2024年の目標は。
「横浜BCで優勝すること。これが何よりの直近での大きな目標。そこは本当にチーム全員でぶれずにいければいい。まずはそこに一番フォーカスし、シーズンを終えてから、パリ五輪に向けて準備していければいいなと思っている。五輪のメンバーに入ることは簡単ではないと思う。しっかりとトムさん(ホーバス監督)に選んでもらえるようなパフォーマンスをしたい」
―五輪で勝つために必要なことは。
「ポイントガードとしてコートの中で試合を支配できるようなプレーができればいい。(ワールドカップを欠場した)八村塁選手も出場することになれば、攻撃の引き出しはたくさん増えてくる。とにかくチームが勝つために、試合に出ている選手がストレスなくプレーできるようにコントロールするのが役割。僕以上に力を持った選手がコートにいるというのが難しい部分ではあるけど、年齢が下であっても、コントロールすることが必要かなとは思う」
ポーズをとるバスケットボール男子日本代表の河村勇輝=2023年11月、横浜市
―今年の抱負として色紙に「挑戦」と書いた。
「昨季は横浜BCでプレーオフのチャンピオンシップに初出場した。次は優勝という大きな目標に対しての挑戦になる。チャレンジャーとしての気持ちを忘れずに戦っていきたい。その後に、パリ五輪がある。ワールドカップでは本当の強豪であるドイツとオーストラリアには歯が立たなかった。五輪はそういったチームしか集まらない大会だと思うので、それに向けての挑戦。僕はドイツ戦もオーストラリア戦も、なかなかうまくプレーできなかった悔しさもある」
―理想の選手像は。
「トムさんにもずっと言われていることで、やはり点を取れるポイントガード。そこが大前提にないと、相手にプレッシャーをかけられない。試合の流れや、相手のディフェンスのプランに、すぐに対応して、自分のプレーを変化させることができるようになりたい。前まではアシストに特化していた部分はあった。(今は)相手の状況や出方によって、何でも選択できるプレーヤーになっていければいいなとは思う」
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