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「プロ野球90年」ロックバンド「サカナクション」」のボーカル・山口一郎さんが語るディープなドラゴンズ愛「ナゴヤ球場に広告が出せて夢みたい」   

47NEWS / 2024年6月20日 10時30分

インタビューに答える山口一郎さん=2024年4月4日、名古屋市のバンテリンドームナゴヤ

 発足から90年を迎えたプロ野球への思いを聞くインタビューシリーズ。人気ロックバンド「サカナクション」のボーカルの山口一郎さんは、2軍戦で使用するナゴヤ球場に自費で広告を出すほどの熱烈な中日ファン。本業の音楽と同様「一生やめられない」というドラゴンズへの思いを語った。(聞き手 共同通信・品川絵里、児矢野雄介) 

 ▽北海道でドラゴンズファン

 父が岐阜県・飛騨金山の出身で、根っからのドラゴンズファン。北海道に移り住んで僕が生まれたんですが、当時の北海道は巨人ファンばかりで、学校に行くとみんな巨人ファンで自分だけドラゴンズファンでした。音楽もそうだけど、みんなが好きなものを好きって言いたくない気持ちもあった。僕も父も釣りが好きで、よく釣りに行く車の中でドラゴンズ戦のラジオを聞いていました。今はインターネットがあるけど、当時は北海道でドラゴンズの情報を手に入れるのは大変。父が「月刊ドラゴンズ」という雑誌を購読していました。

 2006年に日本ハム対中日の日本シリーズがあったときは、北海道で深夜の居酒屋でアルバイトしていたんです。北海道に移転して初めての日本シリーズだったので、北海道中が日本ハムで盛り上がった。僕が働いていた居酒屋でも、僕以外の全員が日本ハムの応援。中日が打った時に僕1人だけが盛り上がって、その時のアウェー感は今でも覚えています。


プロ野球へのメッセージをしたためた色紙を掲げる山口一郎さん=2024年4月4日、名古屋市のバンテリンドームナゴヤ

 ▽野球は最高のドキュメント

 2軍戦も毎日見ています。1軍戦も2軍戦も必ずチェックする。今どの選手が調子がいいとか、けが人が出たときに誰が上がってくるのかなとか、そういう予測をして見るのが楽しい。いろいろ情報を知っておくと、1軍に上がって代打で出た1打席とかに、その選手の思いみたいなものが分かるじゃないですか。そういうときに、打ったり守ったりするのを見て感動するので。

 常にいろんなドラマが起きているのが野球の面白さ。一人一人のドキュメントがあるし、監督やコーチのドキュメントがあるし、プロになろうとしている人のドキュメントもあるし、ドキュメントの最高峰だと思います。

 野球人生って短いじゃないですか。その中でどれだけ輝くか。プロは高校野球と違ってお金のにおいがして嫌だと言う人もいるけど、皆さん働いているわけですよね。この期間でどれぐらい稼げるか、家族をどう守るか、そういうバックグラウンドのストーリーがあるというのはプロ野球の魅力じゃないかな。現役ドラフトで入って来て、和田一浩打撃コーチと出会って開花した細川成也選手の活躍もドラマですよね。


1988年10月、セ・リーグ制覇を果たし胴上げされる中日の星野仙一監督=ナゴヤ球場

 ▽立浪監督に憧れた

 憧れたのは立浪和義現監督。僕らの世代にとってはスターで、守備も打撃も憧れでしたね。高卒でいきなりレギュラーで、ゴールデングラブ賞を取っている。とんでもない。

 名場面はやっぱり、2006年に巨人の上原浩治から打ったサヨナラ満塁ホームランでしょう。あの上原が、うなだれちゃってマウンドから立ち上がれない。巨人戦が特別なのは今も変わらないです。あのときは気持ち良かった。


2006年4月、巨人の上原浩治からサヨナラ満塁本塁打を放つ中日の立浪和義=ナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)

 ▽野球と音楽

 実はミュージシャン同士の交流はそんなに多くないんですよ。でも野球が好きっていうだけで距離が縮まる。そういう部分で、コミュニケーションのツールとして野球はすごくいいですよね。急に仲良くなれるというか。

 四六時中音楽のことを考えて生活しています。僕は音楽のことを仕事と思っていなくて、自分の好きなことを続けているという気持ちでやれているのが幸せなんですけど、あまりに音楽のことばかり考えちゃうと、頭がパンクするというか、遊びがなくなるんです。でも、野球は音楽と離れたところにあって、好きなものとして楽しめる。釣りもそうだけど、癒やしとして僕の生活の中で大事なものだし、離れられないものになってます。

 根尾昂選手の「モス」など、登場曲で自分の曲を使ってくれるのはうれしいですよね。選手がどのミュージシャンの曲を使っているかは気になります。「この選手はああいうのが好きなんだ」とか、「この選手は『ミセス・グリーン・アップル』なんだ」とか。「ずっとこういうの聞いてきたのかな」というカルチャーに対してのストーリーみたいなものが気になったりします。


2006年10月、日本ハムとの日本シリーズ第1戦で、適時打を喜ぶ中日ベンチ=ナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)

 ▽いい時も悪い時も

 全国ツアーで名古屋に行ったときに診てもらうことがある医師の先生がナゴヤドームでの仕事もされていて、病院に選手のサインがあったりして、治療中にドラゴンズ話でめちゃくちゃ盛り上がった。その時に「2軍に看板出してるんだよ」って言われて、「いいな、僕も出したいな」と言ったら、「聞いてあげるよ」って。その先生の紹介で広告が出せた。ナゴヤ球場って、僕らの世代には思い出の球場なんですよ。そこに自分の広告が出せて、夢みたいな話で本当にうれしかった。

 僕はエンターテインメントの側で20年近くやっているので、もっとこういう演出にすればいいのになと思うこともいっぱいあるんです。無償でお手伝いもできるし、僕らのような違うジャンルでやってきた人たちにもっと頼ってほしいなっていう気はしますね。

 どうせ一生愛するわけですから。われわれも生きてきて、いい時もあれば悪い時もあるじゃないですか。それと同じように、球団にもいい時と悪い時がある。それを全部知っておけるのは、ファンとしてぜいたくなこと。ずっと強くても面白くないと思う。その波を体験して、ドラマを知れるというのはいいですよね。幼い頃に見ていた選手たちがコーチや監督になるのを追っかけるのも、すごく楽しい。小学校の時から、音楽と釣りとドラゴンズはやめられない。その三つだけで生きてきたし、そこは一生変わらないんじゃないかな。

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