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「プロ野球90年」精神科医・香山リカさんが語る日本ハムの魅力「新庄監督はどんどん型破りなことをやってほしい」

47NEWS / 2024年7月19日 10時0分

インタビューに答える香山リカさん=2024年4月18日、北海道むかわ町

 発足から90年を迎えたプロ野球への思いを聞くインタビューシリーズ。精神科医の香山リカさんは北海道出身で、現在はむかわ町で地域医療に携わっている。日本ハムの地域密着球団としての魅力をたっぷりと語ってくれた。(聞き手 共同通信=神内隆年)

 ▽かっこよかった「悪太郎」

 私はスポーツをするのは苦手ですが、見るのは大好き。子どもの頃から野球や大相撲、プロレスを見るのが大好きでした。

 小学生の頃はテレビ中継の影響でジャイアンツ(巨人)のファン。堀内恒夫投手を熱狂的に応援していました。正力松太郎元オーナーの遺訓「巨人軍は紳士たれ」を守る選手がほとんどの中、奔放な言動で「悪太郎」と呼ばれ、投げた後に帽子がちょっとずれてひさしが横を向くところが最高にかっこいいと思いました。

 元祖「二刀流」として、ノーヒットノーランを達成した試合でホームランを3本打ったこともあるんですよ。


デビューから10連勝を飾った新人時代の巨人・堀内恒夫投手=1966年7月、後楽園球場

 ▽「根付くかな」は杞憂に

 2004年の(日本ハム)ファイターズの北海道移転が決まった時は東京で働いていたのですが、両親がことのほか喜んでおり、帰省をしたり、電話をかけたりするたびに新庄剛志選手(現監督)や稲葉篤紀選手(現2軍監督)の話を聞かされました。

 最初は正直言って「ジャイアンツファンが多い北海道にパ・リーグの球団が根付くのか」と心配もしていましたが、特に野球マニアでもなかった両親が喜んでいる姿を見て杞憂だったと分かりました。

 当初は「親を笑顔にしてくれてありがとう」という感じでしたが、気付いたら私もすっかりファンになっていました。


色紙を手にする香山さん=2024年4月18日、北海道むかわ町

 ▽〝母の目線〟で応援

 斎藤佑樹投手を応援していました。立教大学の教員として東京六大学野球の応援に行った時に、早稲田大学の投手だった斎藤選手のピッチングを見ていたからです。

 「北海道によく来てくれましたね」という〝母の目線〟でしたね。スランプもありましたが、卑屈になることもなく、いつも一生懸命頑張っているところに素直に感動しました。

 選手を信じ、パワハラ的にではなく理にかなった指導で育てる栗山英樹(前)監督のことも本当に好きでした。ご自分の名前と同じ栗山町に自宅を作り、今でもそこを拠点に活動しているのがすごいと思います。


エスコンフィールド北海道=2023年9月、北海道北広島市

 ▽道内全域で愛される存在

 北海道は広いのですが、ファイターズがすごいのは道内の津々浦々の自治体に「応援大使」を派遣するなど、決して札幌圏のみに目を向けているわけではないことです。みんな北海道のチームだと思っています。

 札幌ドームからの移転先がどこになるか話題になっている時、道東の町に講演に行きました。そこで「いま新球場が札幌市・真駒内か北広島市かで揺れていますね。こちらの町にとってはあまり関係ないかもしれませんが」と言ったところ、終わった後に参加者の1人が「北広島の方がうれしい。少しでも距離が近くなるから」と言いに来てくれて、ファイターズが北海道全域で愛される存在だと知りました。

 私がいま勤めている、むかわ町穂別の診療所でも、看護師さんたちと「昨日すごかったね、万波選手」とファイターズの話題で朝のあいさつを交わすことがあります。野球が自然に日常に溶け込んでいます。

 亡くなった両親も「近藤健介選手(現ソフトバンク)に子どもが生まれたんだってね」と親戚の誰かのことのようにスター選手の話をするので、笑えたことがありました。


笑顔で引き揚げる日本ハムの新庄剛志監督=2023年8月、北海道北広島市のエスコンフィールド北海道

 ▽「新庄流」型破りに期待

 新庄監督に本当に感謝しています。2021年にむかわ町への赴任が決まったとき、東京の知人の多くは「気の毒に」「残念です」と、それをネガティブなことに捉えていました。

 ところがその年の秋に新庄監督の就任が発表されると状況は一変。「うらやましい」「私も行きたい」と、北海道が一気に憧れの地になったのです。型破りなこともどんどんやって、思う存分力を発揮してほしいです。


エスコンフィールド北海道での日本ハムの2023年シーズン最終戦には多くのファンが観戦に訪れた=2023年9月28日、北海道北広島市

 ▽ハイタッチも

 エスコンフィールド北海道(北広島市)は、入り口から短い階段を上がると、すぐにフィールドが目に入ります。外からわずか数分で別天地に到着するのです。一気にテンションが上がる感じがたまりません。

 新型コロナウイルス禍で長いこと声を出しての応援が禁じられていましたが、ようやくまた応援歌を歌ったり、選手の名前をコールしたりできるようになりました。

 ホームランが出た時には、前後左右の知らない人たちとハイタッチすることもあります。そんな経験、他ではないと思います。

 昨年「きつねダンス」が大ヒットしましたが、ファイターズガールの多くは北海道出身だと聞きました。エスコンフィールドには北海道のグルメも集まっています。プロ野球はチームのプレーだけではなく、地域色を出すことが必要になってくると思います。


「きつねダンス」を踊るファイターズガールのメンバー=2023年5月、北海道北広島市のエスコンフィールド北海道

 ▽SNSリテラシーを

 交流サイト(SNS)での選手やチームへの誹謗中傷が社会問題となっています。

 昔からプロスポーツは見る人の「気晴らし」の役割も果たしてきました。嫌なことがあった時にプロ野球を見ながら「何やってんだよ!」とストレスを発散する人はいたと思います。

 ただ、それとSNSで球団や選手のアカウントに攻撃の言葉を送り付けることは全くの別物です。

 匿名の傘に隠れ「花形選手にガツンと言ってやった」と一時的に留飲を下げているのかもしれませんが、言われた方にとっては深刻です。

 今は、言われた選手が1人で悩まず「こんなことを言われて傷ついた」と球団などとシェアすることぐらいしか対応策がありません。

 当事者には「あなたが悪いわけじゃない。憂さ晴らしにたまたま使われてしまっただけだ」と繰り返し伝える必要があります。

 プロ野球に限らず、「相手がいるSNSを自分の不満解消や憂さ晴らしに使わない」というリテラシーを、私たちは学ぶべきです。

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