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旧統一教会トップは謝罪せず「被害」強調、2世あきれ 「解散請求、受け入れていない」岸田首相への不信感も【単独インタビュー前編】

47NEWS / 2024年7月30日 10時30分

インタビューに答える田中富広会長=7月5日

 安倍晋三元首相銃撃事件の発生から2年。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が7月上旬、共同通信の単独インタビューに応じた。単独取材は昨年3月以来で、2回目。なぜこのタイミングで、何を訴えたいのか。原稿を見ず、質問に答え続けた教団トップ。だが謝罪の言葉はなく、繰り返し訴えたのは教団の「被害」だった。「宗教2世」らからはあきれ声や批判が噴出。インタビューの様子を2回に分けて詳報する。(共同通信=深江友樹)

 ◇場所は東京・渋谷にある教団本部。青いスーツに身を包んだ田中会長が記者の前にゆっくりと現れた。小脇には質問項目に関連するとみられるメモが書かれた小さな手帳。インタビューは不満の吐露から始まった。


世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部が入るビル=2022年10月17日、東京都渋谷区

 ―安倍元首相の事件から2年となった。
 教団が向き合っている環境は激変した。全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)からの歪められた主張、メディアによる批判報道で、自民党総裁が教団との関係断絶宣言、挙げ句の果てには朝令暮改の法令解釈変更で、解散命令請求された。信者の人権侵害は全国にまん延した。
 解散請求は教団にとっての死刑宣告。信教の自由から見ても、法の支配から見ても、絶対に不当だ。民主主義の根幹と言える思想信条の自由、信教の自由に政府がいとも簡単に介入した。他の宗教団体にも危機意識が広がっている。

 ◇解散請求の審理は、東京地裁で非公開で進んでいるが、結論の時期は示されていない。質問権行使を巡っては、回答拒否をしたとして地裁が田中会長に10万円の過料を命じた。教団は不服として即時抗告している。

 ―解散請求にはどう対応するか。
 解散請求は断固受け入れられない。教団の幹部が刑事事件を起こしたわけでもなく、ふに落ちない。教団は2009年のコンプライアンス宣言以降、大きく変わっている。全国弁連側は「教団は解散しても続く」「税制優遇がなくなるだけ」と主張しているようだが、悪意しか感じない。解散となれば、財産は持てず、集会する場所もなく、信仰継続は簡単ではない。最後まで徹底して戦っていく。

 ◇昨年11月の記者会見では、田中会長が「おわび」を表明するも、「謝罪」はせず批判を浴びた。


昨年11月の記者会見の冒頭、頭を下げる田中会長(左)ら=2023年11月7日、東京都渋谷区の教団本部

 ―おわびはしたが、謝罪はしなかった。
 スタンスは変わらない。世間をお騒がせしたわけで、おわびはした。だが、謝罪は補償が伴う。被害者が誰か不明確なままに謝罪することは適切ではない。ましてや今は裁判も闘っており、控えるべきだ。おわびと謝罪には距離があり、それは今も変わっていない。

 ―岸田政権についてはどう評価するか。


岸田首相=2022年8月31日、首相官邸

 岸田政権が解散請求したわけで、受け入れていない。この2年間で風向きが一気に変わったのは首相による関係断絶宣言。これは今でも違和感を持っている。「社会的に問題とされている」から断絶すると。これは、首相が判断したのではなく、社会が言っているから断絶するということ。この延長線上で自民党の国会議員全員にチェックをした。これは異常な取り組み。憲法を超えている。

 ―岸田政権、続いてほしいか。
 ノーコメントです。

 ―教団関連以外の政策ではどう評価するか。
 解散請求に至るプロセスが不透明で、自民党派閥問題や、LGBT理解増進法でも同じだった。

 ―秋には自民党総裁選が行われる見通しで、衆院解散もあり得る。政治との距離をどう取るか。
 教団として選挙に関わることはないし、特定の議員を応援することもない。もちろん信者がそれぞれの信念で応援することはある。友好団体からのサポートはこれまでもあったし、今後もあると思う。
 私たちは反共であり、家族の価値(を重視する)ということは明確に訴えてきた。だからその感覚に合う議員を応援することは、党派を超えてある。自民党だけでなく、立憲民主党や日本維新の会を応援する方もおり、個人の信念に基づいている。

 ◇こうした田中会長の発言を2世や教団を追い続けてきたジャーナリストはどうみたのだろうか。
 信者の両親を持つ30代男性は、教団側は過去に何度も社会問題を起こし、やり直す機会はいくらでもあったと指摘する。「反省がない。非を認める気がないから自浄作用も起こらない」とあきれ、信者らが偏見の目にさらされていることは事実としつつも「原因は報道ではなく、教団側が行ってきた不法行為だ」と断じた。

 


ジャーナリスト鈴木エイトさん

 ジャーナリストの鈴木エイト氏も「責任転嫁の発言が目立つ」と批判する。信者の人権侵害については「教団が被害者アピールにすり替えて利用している。『宗教迫害』という議論に持っていきたいのだろう。教団側がもたらしてきた被害に向き合わぬ以上、改革は見せかけに過ぎない」と強調。「これまで得られていた政治家からの庇護が受けられなくなり、焦っているのだろう。だから『友好団体』を持ち出して政治家への支援も示唆している」と分析した。

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