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憧れの人魚になりたい―かなえませんか? 名古屋に「マーメイドスイム」のスクール、優雅な舞台の裏には厳しい練習があった

47NEWS / 2024年8月21日 10時0分

水中で「マーメイドスイム」の練習をする「人魚の学校」の生徒=名古屋市(同校提供)

 子どもの頃に憧れたマーメイドのように―。人魚の尾に見立てたフィンと衣装を身につけ、水中を優雅に泳ぐ「マーメイドスイム」のスクールが名古屋市にある。その名も「人魚の学校」。海外ではプロのパフォーマンスとして一般に知られ、ショーも開かれているが、国内の認知度はまだ低い。
 「日本でも広めたい」。こう語るスクールの代表後藤祥子さん(44)も人魚姫に魅せられ、独学で身につけた。年齢や水泳が得意かどうかに関係なく学べるといい、夢への挑戦を後押ししている。(共同通信=吉田有美香)

 ▽水中を華麗に舞う


水中で「マーメイドスイム」の練習をする「人魚の学校」の生徒=名古屋市(同校提供)

 5月中旬、名古屋市天白区にある水深約5メートルのダイビングプールに、8人の「人魚」が集まった。ショーへの出演やインストラクターを目指す上級者向けのレッスンだ。両足を固定して魚の尾の形をしたフィンを装着し、その上からフリルやスパンコールで飾られた人魚風のコスチュームを着け、プールに飛び込んだ。


 水中でスピンすると。それぞれピンクや黄色に彩られた尾がゆらめき、幻想的な世界が広がる。「慌てると人間らしさが出てしまう。もっとゆっくり、しなやかに」。後藤さんら講師が、泳ぎ方から指先の角度まで細かく指導した。


ポーズの確認をする生徒ら

 2人組のコンビネーション技では、水中でリング状の泡「バブルリング」を出し、その泡を追うように、回転しながら水面へ浮上する。2人が背中合わせになる場面があり、息を合わせるために練習を重ねた。

 ▽後悔より挑戦


後藤祥子代表(右から5人目)と講師、生徒ら=名古屋市

 後藤さんがマーメイドスイムを始めたきっかけは、2015年に交流サイト(SNS)のインスタグラムで目にした、愛好者のパフォーマンスだった。当時35歳。幼少期から人魚姫に憧れを抱いていたが、水に顔をつけられないほど水泳は苦手で、「いまさら始められるのか」と迷いもあった。
 だが「やらずに終わるよりいい」と決意し、公営プールに通って、素潜りができるまで練習した。近くにマーメイドスイムの技術を習える所がなかったため、自己流で体得し、さらに民間団体が発行するインストラクター資格も取得した。
 アメリカやフィリピンでは、水族館や商業施設のプールで人魚ショーがあり、エンターテインメントとして認知されている。後藤さんは日本でも魅力を広め、パフォーマンスしたい人の力になろうと、2020年に名古屋市でスクールを開いた。

 ▽優雅な人魚の裏側

 後藤さんは「シェリーナ」というマーメイドネームを持つ。生徒も講師も、それぞれのマーメイドネームで呼び合っている。水中カメラを観客に見立てて、投げキスやポーズを決める練習も。レッスンではそんなメルヘンな世界が広がる一方、少しでも長く潜る必要があるため、過酷な潜水トレーニングも行う。
 講師の五十嵐麻理さんは普段の練習の重要性を強調する。「人魚というと、チャラチャラしたように見えるかもしれないけれど、想像以上にハードで、命のリスクを伴う。何の知識もなく衣装を着て水に飛び込むのは危険で、しっかりと訓練することが必要です」


息止めの練習をする生徒ら

 マーメイドネーム「ハリー」の女性(26)=東京都=は本気で取り組むため、1年ほど前に仕事を辞めた。自主的に練習しつつ、名古屋市にも通う。「ディズニーアニメの人魚姫アリエルのようになりたくて習っている。ショー出演を目指したい」と意気込む。
 3年ほど通っている名古屋市の女性(50)は子どもの頃、こいのぼりを身に付けて人魚になりきっていた。今は習い事として通っており、「フィンがあるので年齢や体力に関係なく泳げる。自分に合っている」と語る。
 受講者には男性もいる。両足に1枚の大きなフィンを付けてタイムを競う「フィンスイミング」を続ける愛知県江南市の40代の男性は、練習場所を探す中で、マーメイドスイムと出会った。競技と違い、水中を立体的に泳げるのが楽しいという。「郷には入れば郷に従えと、コスチューム衣装を手作りしている」

 ▽夢かなう場所に

 開校当初は生徒が集まらなかったが、SNSでスクールの存在が伝わり、現在は初心者向けの体験会や、上達度合いに応じた講習会を月に数回開いている。累計250人以上が参加し、年齢は6歳から70代までと幅広い。女性が多いが、男性も増えてきた。昨年は水族館でショーも開催した。



昨年人魚の学校が開催した水族館でのショー(同校提供)

 国内にマーメイドスイムの愛好者団体はあるものの、本格的に習えるスクールは少ない。後藤さんは「やりたいと思いながらも踏み出せない人はいると思う。泳げなかった私にもできた。夢があるなら、何歳になっても挑んでほしい」と話している。


昨年人魚の学校が開催した水族館でのショー(同校提供)

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