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新幹線ストップ、さてどうする? 連携プレーに心意気

47NEWS / 2024年8月23日 11時0分

東海道新幹線豊橋―三河安城間で衝突、脱線した保守用車両=7月22日

 【汐留鉄道倶楽部】7月22日未明、愛知県内の東海道新幹線上り線で保守用車同士の衝突脱線事故があり、一部の列車を除き始発から運転ができなくなった。復旧作業は深夜まで続き、浜松―名古屋間の上下線で終日運転を見合わせ、上下計328本が運休し約25万人に影響、夏休みスタート直後に東西を結ぶ大動脈は混乱を極めた。

 実はその日、大阪への日帰り出張に当たっていた。前夜は「午前8時半ごろの『のぞみ』でちょうどいいか」などと思っていたが、朝6時のニュースで運転見合わせを知り、慌てて飛行機を予約した。残りわずかだったから、すぐに満席になっただろう。「早起きは三文の徳」だ。この段階では「昼過ぎには復旧見込み」と言っていて、大阪での用事は夕方には終わるから、最終列車近くになればダイヤもだいぶ回復しているだろうと考えた。

 これがとんだ大間違いで、午後になると「終日復旧は難しい」と伝えられた。考えられる手段は(1)帰りも飛行機(2)1泊して明朝の飛行機か新幹線(3)名古屋―浜松は在来線を使って強行突破(4)何らかの方法で迂回―。さて。

 飛行機は最終の関西空港発が数席残っていたが、3万円超という値段に腰が引けた。1泊しても翌朝の飛行機はどれも満席、新幹線も復旧の保証はない。というわけで在来線を検討した。大阪―東京をすべて在来線を使えば約9時間。何度も経験済みだが、さすがに今日は無理な話だ。在来線の名古屋―浜松は2時間弱なので、前後を新幹線で挟めばなんとかなりそうだが…。


東海道新幹線の一部区間運転見合わせを伝えるJR新大阪駅の掲示板=7月22日

 結論から言えばこれを選択しなくて正解だった。名古屋以西、浜松以東の新幹線は1時間に2本のこだまが中心で、かなりの混雑が予想された。それでも西側は近鉄や名鉄でJRを避けることもできなくはないが、問題は東側。実際、在来線と新幹線との乗り継ぎ駅となった浜松は人であふれ、翌朝のニュースで「ホテルが取れなくて駅前の広場で夜を明かした」という声を聞き、心底同情した。

 で、結論は北陸回り。大阪駅の券売機で検索して、サンダーバード39号(大阪17時40分→敦賀19時00分)、つるぎ40号(敦賀19時09分→金沢19時52分)、はくたか578号(金沢20時20分→東京23時24分)を押さえ、新幹線は疲れも出るだろうから奮発してグリーン車にした。だが金沢で乗り換えないといけないのが難点で、サンダーバードが着席の保証のない「立席特急券」というのもいただけなかった。時間に余裕があるので、特急並みにすっ飛ばす新快速で京都まで先回りすることにした。この間に空席が出れば、あわよくば着席の列車に振り替えられるかも、という作戦だった。


JR浜松駅で在来線に乗り換えるため、列に並ぶ利用客=7月22日

 京都でいったん改札を出て、券売機に並んでいると「サンダーバードで敦賀に行かれる方はいらっしゃいますか」と駅員が呼びかけていた。本来乗るはずだった39号の約20分前に、臨時の91号(京都17時49分→敦賀18時45分、全車自由席)が走るらしい。「それなら始発の新大阪から乗れば確実に座れたか…。京都でも空席があればいいのだが」と心配したが、到着した6両編成の列車は予想に反してガラガラ。京都を出ると次は終点敦賀なので、余裕の移動だった。

 その先も臨時の新幹線、はくたか696号(敦賀19時03分→東京22時20分)が増発されていて、敦賀では大勢の駅員の誘導に従って真新しい新幹線ホームに止まっている列車に乗り込んだ。こちらも混雑はまったくなく、特にグリーン車は1両に乗客5、6人というすき具合。車内販売がないので、持ち込んだペットボトル半分のお茶を飲むだけでだいぶおなかは減ったが、東京まで直行3時間を超える車中はとても快適だった。

 サンダーバード、はくたかの増発はこの列車を含め上下各1組。JR東海のピンチを前にJR東日本、西日本が救いの手を差し伸べたと言えそうだ。後から時刻表で調べたら、もともとこの時間帯には多客期のための臨時列車の「スジ」が設定されていて、車両や乗務員が確保できれば増発はさほど難しくはなかったかもしれない。告知がもっと早ければより多くの乗客を誘導できただろうが、緊急事態の中でよく決断してくれたと思う。

 特筆すべきなのは、京都や敦賀での駅員の対応だった。混雑する切符売り場やホームで大きな声を上げ、手元のタブレット端末を操作して客を次々さばいていた。「後続列車の指定券でこの臨時列車のグリーン車に乗れますか」という私の質問に、別の駅員にも確認した上で「大丈夫です、ホームへお急ぎください」と丁寧に答えてくれた。てきぱきとした連携プレーに、鉄道に携わる人間の心意気を見た思いだった。

 ☆共同通信・八代到

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